いろいろな『いろは歌』全14種類|日本の美しい言葉

いろいろな『いろは歌』全14種類|日本の美しい言葉 一覧
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いろは歌(いろはうた)は、仮名を重複させずに使って作られた47字の誦文(ずもん=経文やまじないの文句)のことです。10世紀後半から11世紀頃にはその存在が確認されているそうです。10世紀後半というと平安時代や鎌倉時代ということになります。

いろは歌は、七五調の韻文となっており、のちに手習いの手本として広く受容され、近代にいたるまで用いられたました。 これがみなさんの知っている「いろはに ほへと ‥‥」です。

ここでは、『いろはにほへと』の全文・意味とその後に作らた13作のいろは歌を紹介していきます。

 

 

一般的な歌詞といろは歌の意味

1. 日本で一番有名な歌、十世紀後半成立


 

色はにほへど 散りぬるを 我が世たれぞ 常ならむ 

有為の奥山  今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず

 

いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ  つねならむ 

うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす

 

意味:

花の色・香りは、やがては散ってしまう定めのもの。

この世で、誰が常に存在できましょうか。いや誰も不変ではない。

万物で満たされたこの世を一日生きて はかない夢など見るようだ 酔っているわけでもないのに

 

 

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その他のいろは歌

 

2. 坂本百次郎 作、明治36年(1903年)「万朝報」募集の1等

 

鳥啼く声す夢さませ 見よあけわたる東を 

空色映えて沖へに 帆舟群れゐぬもやのうち

とりなくこゑす ゆめさませ みよあけわたる ひんかしを 

そらいろはえて おきつへに ほふねむれゐぬ もやのうち

 

 

3. 「ひふみ歌」先頭部分は「一二三四五六七八九十百千」

 

ひふみよいむなやこともち ろらねしきる ゆゐつわぬ
そをたはくめかうおえに さりへて のます
あせゑほれけ ん

 

 

4. 戦後、吉田茂首相の時の風刺歌(昭和27年)

 

しろたびよごれ総理ゆく あとをきほ(競)へるカメラマン 

不逞のおやぢ笑みもせず さえぬ煙輪(けむわ)に鼻つねゐ

 

5. 平安時代初期成立

 

 

天、地、星、空、山、川(かは)、峰、谷、雲、霧、室(むろ)、苔、人、犬、上(うへ)、末(すゑ)、硫黄(ゆわ)、猿、生(お)ふせよ、榎の枝を、馴れ居(ゐ)て。

 

あめ、つち、ほし、そら、やま、かは、みね、たに、
くも、きり、むろ、こけ、ひと、いぬ、うへ、すゑ、
ゆわ、さる、おふせよ、えのゑを、なれゐて。

 

6. 細井広沢 作「君臣歌(きみのまくらうた、くんしんか)」

 

君臣(きみのまくら)  親子夫婦(いもせ)に兄弟(えと)群れぬ 井鑿(ゐほ)り田植へて末(すゑ)繁る

天地(あめつち)栄(さか)ゆ 世よ侘びそ 舟の櫓縄(ろはな)

 

きみのまくら おやこいもせに えとむれぬ ゐほりたうへて

すゑしける あめつちさかゆ よよわひそ ふねのろはな

 

 

7. 本居宣長 作「雨降歌(あめふれうた)」

 

雨降れば 井堰(ゐせき)を越ゆる 水(みつ)分けて 安く諸(もろひと)

下(お)り立ち植ゑし 群苗(むらなへ) その稲よ 真穂(まほ)に栄えぬ

 

あめふれは ゐせきをこゆる みつわけて やすくもろひと 

おりたちうゑし むらなへ そのいねよ まほにさかえぬ

 

 

8. 堀田六林 作

 

春ごろ植ゑし 相生(あいおゐ)の 根松行く方(え) にほふなり

齢(よわひ)を末(すへ)や 重(かさ)ぬらむ 君も千歳(ちとせ)ぞ めでたけれ

 

はるころうゑし あいおゐの ねまつゆくえ にほふなり

よわひをすへや かさぬらむ きみもちとせそ めてたけれ

 

 

9西浦紫峰作「おえど歌」(1952年)

 

お江戸街唄 風そよろ 青柳(あおやき)けぶり ほんに澄む

三味(さみ)の音(ね)締めへ 燕(つはくら)も  恋(こひ)ゆゑ濡れて ゐるわいな

おえとまちうた かせそよろ あおやきけふり ほんにすむ

さみのねしめへ つはくらも こひゆゑぬれて ゐるわいな

 

 

10.  谷川士清 作「天地歌(あめつちうた)」

 

天地(あめつち)分き 神さふる 日本(ひのもと)成りて 礼代(ゐやしろ)を

大御嘗齋場(おほへゆには)  占(うら)設(ま)けぬ これぞ絶えせぬ 末(すゑ)幾世(いくよ)

 

あめつちわき かみさふる ひのもとなりて ゐやしろを

おほへゆには うらまけぬ これそたえせぬ すゑいくよ

 

 

11.  「たゐに歌」(十世期末成立)

 

田居(たゐ)に出(い)で 菜摘む我をぞ 君召すと 漁(あさ)り追ひゆく

山城(やましろ)の うち酔(ゑ)へる子ら 藻葉乾(ほ)せよ え舟繋(か)けぬ

たゐにいて なつむわれをそ きみめすと あさりおひゆく 

やましろの うちゑへるこら もはほせよえ ふねかけぬ 

 

 

12.

 

細山川の 末を見よ 千船群居る 広瀬あり

夢起こたせで 業とけん いつにし消えぬ 名もうべく

 

ほそやまかはの すゑをみよ ちふねむれゐる ひろせあり

ゆめおこたせで わざとけん いつにしきえぬ なもうべく

 

 

13.

 

井堰稲植え 刈り収む 負う穂も揃い 土肥えぬ

稀に見る夢 安らけく あな楽しよと 我は経てん

 

ゐせきいねうゑ かりをさむ おふほもそろい つちこえぬ

まれにみるゆめ やすらけく あなたのしよと わはへてん

 

 

14. 文芸春秋デラックス1974年12月号より

 

乙女花摘む 野辺見えて 我待ち居(ゐ)たる 夕風(ゆふかせ)よ

鴬(うくひす)来(き)けん 大空(おほそら)に 音色も優し 声(こゑ)ありぬ

 

をとめはなつむ のへみえて われまちゐたる ゆふかせよ

うくひすきけん おほそらに ねいろもやさし こゑありぬ

 

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