その他の和歌・俳句などの古典な回分 1000種類
(カッコ)内は出典等です。
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- いい事を女に難を男いい(種ふくべ、五)
- いざただ女難を糺(ただ)さい(毛吹草追加下、南何)
- いてる雪春べや減るは消ゆるてい(崑山集)
- いなやまひでぞ袖隙(ひま)やない(毛吹草追加下、春日何)
- おちこちへもし人連れむ戻り雁友むれつどひしも越後路を(廻文歌百首)
- おどらむ狸きぬた村遠(むらとお)(紙屋川水車集、第一)
- おひくだすよど川かとよすだく氷魚(ひお)(立圃句集)
- かい立つは知らじや知らじ初旅か(紙屋川水車集、第三)
- かきし間や羽はしばねば山鴫(しぎ)か(毛吹草追加下、南何)
- かくれ里こそそことざれ句か(紙屋川水車集、第一)
- かく笛ふきむむぎ笛吹くか(紙屋川水車集、第一)
- かけざなお餅もや餅もおなさけか(紙屋川水車集、第二)
- かしこきが童(わらわ)ら童垣ごしか(紙屋川水車集、第一)
- かしの木のかれ是これか軒の鹿(鹿、崑山集)
- かすむ扇子(せむす)かかすむ扇子か(紙屋川水車集、巻軸)
- かず和歌の芸望月も作はよは草も木つちも池の蛙(かわず)か(紙屋川水車集、下)
- かたきとぞ聞くにもにくきそと来たか(毛吹草追加下、南何)
- かたみの太鼓いたのみたか(紙屋川水車集、第五)
- きかば音(ね)は鴫(しぎ)かや掻きしはね羽がき(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- きし涼むすずみて泉むすぶらう(ふ)すむ水出(い)でみ涼むすずしき(紙屋川水車集、下)
- きそきそ来(き)木曾木そぎそぎきそきそ木(紙屋川水車集、第八)
- くやしの心九尺(ここのしゃく)
- けさのみか蔵昼開く神の酒(崑山集)
- けさのめよ春年とるはよめの酒(崑山集)
- けさはそとのむこそこむの屠蘇は酒(崑山集)
- けふも呑み老いのその日を身の設(もふ)け(三種尺、初・あかねうら)
- ことの間よ紙唐紙か四間(よま)の床(紙屋川水車集、第二)
- この子やは今来ん来まいはや此の子(紙屋川水車集、第一)
- この形見(かたみ)下着にきたし見た鹿の子(新編柳多留、25)
- さあ霧 たちに立ちたりき朝(毛吹草追加下、南何)
- さがれきもりの糊もきれ傘(世話焼草、五)
- さくいろよながくかくかなよろい草(崑山集)
- さく数(かづ)は香をとへ十日廿日草(崑山集)
- さく時はよろこぶ比よはぎと草(崑山集)
- しおり戸も梅(むめ)が眺めむもどり惜し(廻文歌百首)
- しきくやむ焼野をのけや無益(むやく)雉子(崑山集)
- しごきなやみか髪柳ごし(紙屋川水車集、第九)
- しっくりとお家の塀を取崩し(俳諧廻文百韻)
- しばしは舞う間舞う間はしばし(毛吹草追加下、南何)
- しべなみをよくさき咲くよをみなへし(毛吹草六、廻文之発句)
- しべぬれど蜂の巣後はとれぬべし(紙屋川水車集、第一)
- しらげの籾(もみ)も芒(のげ)らし(紙屋川水車集、第五)
- しらしら霜よ四方白々し(紙屋川水車集、第八)
- しらぬきつ御僧(おそう)もうそをつきぬらし(世話焼草、五)
- しらぬ身よ哥がらかたう読みぬらし(毛吹草追加下、南何)
- しらはぎいかに二階気はらし(はした柴)
- しら露つらややら露つらし(毛吹草追加下、春日何)
- しら鷺去るか狩る鷺去らじ(毛吹草追加下、春日何)
- しるしかは野菊の茎の葉かしるし(俳諧広原海、六)
- しろしとも消ゆるなる雪もと白し(廻文歌百首)
- しろ稲(しね)よ殻漉(こ)す子らが米(よね)白し(紙屋川水車集、第三)
- しろ髪は毎日見るぞ憂かるなる髪剃る道に今は身かろし(吾吟我集10、回文哥)
- しわい気や年祝いしと焼鰯(やきいわし)(梅の艶)
- じつ辛し咲いて果ていさ白躑躅(しらつつじ)(毛吹草六、廻文之発句)
- すきととぼけな鳴け郭公(ほととぎす)(毛吹草追加下、春日何)
- すすむればのみず霞のはれむ錫(紙屋川水車集、第一)
- すはこの槍の糊は拭(のご)はず(俳諧廻文百韻)
- すは花は蓮すは花は蓮(毛吹草追加下、春日何)
- すりきり聞くな鳴くきりぎりす(紙屋川水車集、第二)
- するのみかきつとぞ十月(とつき)神の留主(るす)(神楽、崑山集)
- するのみか垣根の禰宜(ねぎ)か神の留守(毛吹草追加下、春日何)
- するのみか貴船にねぶき神の留守(崑山土塵集)
- するを待つ苦痛はうづく夫(つま)を留守(新編柳多留、25)
- する事をいらつもつらい男留守(新編柳多留、四)
- そこの地は貸し似我蜂(にがばち)の子ぞ(廻文俳諧之歌仙)
- そちの契(ちぎ)るは春吉日(はるきちにち)ぞ(毛吹草追加下、南何)
- たえず肩いたむに無体鷹すえた(紙屋川水車集、第一)
- たが見るな月をや興津なるみ潟(鷹筑波、二)
- たが髪切るややる君が方(毛吹草追加下、春日何)
- たくか味噌夏豆待つなみそか食た(崑山集、附録)
- たつたや春は春はや立った(毛吹草追加下、南何)
- たつたるは立つたや立つた春立つた(鷹筑波、五・崑山集)
- たてぞ出た妻戸門松たてぞ出た(崑山集)
- たのみつつ群り刈らん堤の田(崑山集)
- たばこのみ起きつつ月を見のこはた(紙屋川水車集、第二)
- たばこ畑(はた)花よ葉よ名はたばこ畑(崑山集)
- たべ退きか渋しや渋し柿のへた(崑山集)
- たまれ又きゆるふる雪たまれまた(崑山集)
- たれ惚れた顔か笑顔か誰惚れた(紙屋川水車集、巻軸)
- だまし気(げ)な夜鷹姿よ投げ島田(峯の嵐)
- つたなや名立つつたなや名立つ(紙屋川水車集、第五)
- つたふ鳥羽田は畑はとぶ田鶴(紙屋川水車集、第五)
- つつしむか琴をば男感じつつ(紙屋川水車集、第三)
- つつめども先づ妻求めつつ(毛吹草追加下、春日何)
- つどひ摘む野に名は何の六つ一つ(崑山集)
- つどひ来つ景見る三池月ひとつ(崑山集)
- つなぎ船淀人一夜ねぶき夏(新編柳多留、10)
- つま琴を聞くにぞにくき男待つ
- つま籠めい(ひ)長閑な門のひめ小まつ(崑山集)
- つれなきを悲しびし中起き馴れつ(毛吹草追加下、南何)
- つれなき女難をきなれつ(俳諧廻文百韻)
- とくただと里のたかむら雪白し消ゆらむ方のとざしたたくと
- とととと寄れよ寄れよとととと(紙屋川水車集、第一)
- どちらへか引きつる月日帰らじ(ぢ)と(廻文俳諧之歌仙)
- なかぬ蚊のとまつて妻戸のかぬかな(峯の嵐)
- なかば咲く雪花はきゆ草葉かな(崑山集)
- ながい(ひ)縄車火まるく花火かな(崑山集)
- ながきかな春日の昼はながき哉(永日、崑山集)
- ながきつた軒這ふは木のたつき哉(崑山集)
- ながき日に小猫と小ねこ二疋哉(崑山集)
- ながき日の大こんこいだ野引き哉(崑山集)
- ながき松折りくべ栗を爪木哉(崑山集)
- ながき炭野のおく小野の身すぎ哉(崑山集)
- ながき馬場雪掃けば消ゆははき哉(崑山集)
- ながくただなづな七つ菜たたく哉(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- ながく鳴き鶯ひくう来鳴く哉(紙屋川水車集、第二)
- ながす恥質物持ちし師走哉(崑山集)
- ながつまを水際(みぎは)に高し一つ松訪ひしかたには君を待つかな
- なが月を波にだにみな沖津かな(立圃句集、下)
- なふ(のう)地味も備はるは名ぞ紅葉鮒(紙屋川水車集、第八)
- ぬり笠かろく黒笠借りぬ(毛吹草追加下、春日何)
- ねぶきうき舟ねぶきうき舟(紙屋川水車集、第三)
- ねぶささまして出島ささ舟(紙屋川水車集、第八)
- ねぶの木あぶななふ秋の舟(紙屋川水車集、第五)
- ねぶりさい沖つの月をいさり船(峯の嵐)
- ねぶりたくして出し下り舟(毛吹草追加下、春日何)
- ねぶりつ乗るは春の釣舟(毛吹草追加下、春日何)
- ねぶり釣船ねぶり釣船(紙屋川水車集、第七)
- ね臥(ふ)したは節分(せちぶ)や淵瀬渡し舟(紙屋川水車集、巻軸)
- のきさらむ萩の葉のきはむらさきの(萩、崑山集)
- のくさらむ虫の音のしむ紫野(立圃句集、秋)
- のどけきに端折(つまおり)傘の名ばかりか花のさかりを松にきけとの
- はや刈るかはかなや半ば刈る萱(かや)は(崑山集)
- はらあげる舟なる棚は魚(いお)捕ると追い放たるなねぶる気あらば(藤原隆信朝臣集)
- ひが事を咎める眼角(めかど)男甲斐(折句紀の玉川、二)
- ひたひた舟荷になふ度たび(はした柴)
- ひた月を運ぶぞ畚(ふご)は沖津鯛(だひ)(はした柴)
- ひま無(の)うて見ぬこそこぬ身蝶(てふ)の舞(崑山集)
- ひら餅もみがかん鏡餅もらひ(紙屋川水車集、第九)
- ほかのきつかすみに見ずか月の顔(かほ)(春月、崑山集)
- ほととぎす聞かまし籬(まがき)杉戸遠(とほ)(廻文歌百首)
- まさしく病むな南無薬師様(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- まじれ名は鳥と鵆(ちどり)と離島(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- ます文(ふみ)か紙伸(の)すのみか紙ふすま(紙屋川水車集、第二)
- まるくを乗るは春の小車(毛吹草追加下、春日何)
- みがかん鏡みがかん鏡(紙屋川水車集、巻軸)
- みなといくせ稼ぐいとなみ(紙屋川水車集、第五)
- みなのぼしつは初塩の波(紙屋川水車集、第一)
- みなの川拙き名立つわかの波(峯の嵐)
- みな月を友まつ間もと沖つ波(廻文俳諧之歌仙)
- みな番を除けいよ池の御花見(崑山集)
- みな花はやる水見るや花は浪(紙屋川水車集、第一)
- みな花は枯れたに誰か花々見(紙屋川水車集、第五)
- むかひてぞ目まぜはせまめ袖引かむ(世話焼草、五)
- むべのかじ名は龍田花志賀の辺(崑山集)
- むべや窓の梅(むめ)かながめむの苫(とま)や辺(崑山集)
- むべ春日鹿よ見よかしかすが辺(崑山集)
- むべ竹田はえなん苗は竹田辺(毛吹草追加下、春日何)
- むべ野畝(のせ)の白露つらし野せの辺(紙屋川水車集、第三)
- むらさきもついやれつつぞ女(おな)の身の猶ぞ襤褸(つづれ)やいつも着ざらむ(狂歌才蔵集、14)
- むら草の名は知れぬすらこの庭にのこらずぬれし花の咲くらむ
- むら雪に去年(こぞ)の南の草花は咲くのみなみのそこに消ゆらむ(日導作)
- むら鳥捕れややれ鳥捕らん(毛吹草追加下、春日何)
- めす梅よしよよし嫁娘(紙屋川水車集、第九)
- めた打ちし囲碁々石中(ちう)だめ(紙屋川水車集、巻軸)
- もいのとやふとやるせなし鐘鳴るな音が仕なせるや問ふ宿の妹(いも)(毛吹草追加下、廻文の狂歌)
- もしや消ゆ今朝のこの酒雪や霜(花もん日)
- もし野辺の花にや似なば野べの霜(崑山集)
- もとのきつ今したしまい月の友(崑山集)
- もとの今朝もれた手たれも酒の友(信州万句合集)
- もとの名はしれなんなれし花の友(俳諧廻文百韻)
- もとの名は変りけり我が花の友(鷹筑波、五・峯の嵐)
- もとの名は弓取と見ゆ花の友(海録、三、西行の賛の廻文俳諧という)
- もと目はつくな鳴く燕共(世話焼草、五)
- やがて見つ日をのべる葉も咲く花は草も春べの老い(ひ)摘みてかや(老摘草、廻文歌百首)
- やく山焼くよよく山焼くや(毛吹草追加下、南何)
- やしろ宜しや社よろしや(毛吹草追加下、春日何)
- やすいあいずややすいあいずや(紙屋川水車集、第五)
- やむも身かろく黒髪揉むや(毛吹草追加下、春日何)
- やめざるは延びたる旅の春雨や(俳諧廻文百韻)
- やら寒や頸根(くびね)舟引くやんさらや(世話焼草、五)
- やら殿ひかで手飼の虎や(紙屋川水車集、第二)
- やら辛や八重垣かべややらつらや(紙屋川水車集、第七)
- やる樽や今朝なんなさけやる樽や(紙屋川水車集、巻軸)
- ゆったりと置きつつ月をとりた露(廻文俳諧之歌仙)
- よき仲は絶えたり絶えたはかなき世(磯の波)
- よき月夜ただ秋あたたよき月よ(崑山集)
- よき月夜火縄も花火よき月よ(紙屋川水車集、第七)
- よき月夜照つてや照つてよき月夜(崑山集)
- よき月月夜よき月月夜(毛吹草追加下、南何)
- よき槌(つち)もえいとうといへ(え)望月夜(鷹筑波、二、米つき槌にてもちつくをみて)
- よき秋よただただよき秋よ(紙屋川水車集、第三)
- よく敷くか畳のみ只かく敷くよ(毛吹草追加下、春日何)
- よく説(とか)ふ穿鑿(せんさく)三世不可得よ(紙屋川水車集、第八)
- よしほめん花の実の名は梅ぼしよ(崑山集)
- よせ風よ鯨あらしくよせ風よ(紙屋川水車集、第一)
- よそ皆ははくらく楽は花見ぞよ(俳諧廻文百韻)
- よみ色紙見よよみ色紙見よ(紙屋川水車集、第二)
- よろこびぞまつ花は妻添ひころよ(崑山集)
- よろこびはのびの子日(ねのひ)のはびころよ(紙屋川水車集、第八)
- イイ女男のことを難を言イ(柳風狂句合)
- サア熨斗(のし)とよろこぶ頃よ年の朝(信州万句合集・新編柳多留、七)
- 万里乗り馬まんり乗りむま(紙屋川水車集、巻軸)
- 三寸(みき)の名はからつ珍らか花の君(紙屋川水車集、第九)
- 下(もと)のきつ白露つらし月の友(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 下の句が摺れしか知れず額(がく)の文字(東宰府天満宮奉額狂句合)
- 下の竹田かかたげたのもし(紙屋川水車集、第四)
- 下り居待たばや八幡まいりを(廻文俳諧之歌仙)
- 下司のよい住居(すまい)にいます伊予の助(紙屋川水車集、巻軸)
- 下戸かは色師白い若後家(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 下手下手げすたり句つまる句をおくるまづくりたすけたべたべ(紙屋川水車集、下)
- 下紐をはかなき中は思ひ出し(柳風狂句合)
- 下紐を解く気をきくと思ひ出し(種ふくべ、五)
- 下紐を解けとく解けと思ひ出し(毛吹草追加下、春日何)
- 下駄はくな鶯低うなく畑(入舩狂句合・新編柳多留、18)
- 世の中はむなしく死なむはかなの世(毛吹草追加下、南何)
- 世の名立つ悔むは無益(むやく)つたなの世(毛吹草追加下、南何)
- 中きつう鼻はたはなは卯月哉(鼻にものの出来ければ、崑山集)
- 中ごみかりくつにつくりかみこ哉(崑山集)
- 中ごみか売るた綿るう紙子かな(崑山集)
- 中さしに今朝ぞ屠蘇酒にし肴(崑山集)
- 中な淵身もふとるより底てりてこぞり寄るとふもみぢ鮒かな(紙屋川水車集、巻軸)
- 中な葉をむらがり刈らむ尾花哉(毛吹草六、廻文之発句)
- 中の方(かた)たつ鳥とつた鷹野哉(崑山集)
- 中の草はなはた花はさく野哉(崑山集)
- 中はない蝗(いなご)の子ない稲葉哉(毛吹草六、廻文之発句)
- 中乗るは馬(むま)のこのまむ春野かな(毛吹草六、廻文之発句)
- 中入れをぬぎつ夏来ぬ御礼哉(衣替の礼に行て、崑山集)
- 中出た穂群り刈らん穂蓼かな(夢見草、五)
- 中広い萩垣垣は広いかな(夢見草、五)
- 中朽ちし竹の子除けた紫竹哉(崑山集)
- 中臣のみ神楽一人舞の手の今りと開く神の御戸哉(譬喩集)
- 丸く咲かば名こそそこなは風車(毛吹草六、廻文之発句)
- 主(しう)も主望む先祖の氏(うじ)も氏(芦辺の鶴・新編柳多留、四)
- 主(しう)持てばむなしく死なむ果も憂し(俳諧廻文百韻)
- 井のもとぞ見すかす霞外面(そとも)の井(毛吹草追加下、南何)
- 交野(かたの)見つ鳥と小鳥とつみの鷹(毛吹草追加下、春日何)
- 人に似た案山子(かかし)に鹿が谷に飛び(新編柳多留、七)
- 人はいけ番(つが)はせば勝つ競馬飛び(毛吹草追加下、春日何)
- 人来ねば河豚(ふぐ)喰ふは猫鳶(はした柴)
- 今日(けふ)のよさ月庭に来つさ夜の更(ふ)け(廻文歌百首)
- 今日は皆した嗜(たしなみ)は武家(紙屋川水車集、第一)
- 今朝う(む)まし飲めやあやめの自慢酒
- 今朝うたふ飲めかや瓶(かめ)の葡萄酒(毛吹草、追加下)
- 今朝と待つ呑めやあやめの夫(つま)と酒(折句紀の玉川、二)
- 今朝のむかしますなすまし寒の酒(崑山集)
- 今朝のむか寒の日飲むかかん(む)の酒(世話焼草、五)
- 今朝のめか春初春は瓶の酒(毛吹草追加下、南何)
- 今朝のめか長閑な門(かど)のかめの酒(毛吹草追加下、南何)
- 今朝の座円く車座の酒(峯の嵐)
- 今朝の桃よいよりよいよ桃のさけ(崑山集)
- 今朝の菜は下地にしたし花の酒(俳風国恩会狂句)
- 今朝の酒のめやあやめの今朝の酒(崑山集)
- 今朝はのめや菖蒲(あやめ)の花見酒(毛吹草追加下、春日何)
- 今朝ひかむ額(ひたひ)も痛い迎酒(むかひざけ)(新編柳多留、19)
- 今朝みなは素不二の詩賦す花見酒(はした柴)
- 今朝よさけ今朝さけささげ今朝よさけ(崑山集)
- 今朝よとひ出来た又来て一夜酒(世話焼草、五)
- 今朝よ都鄙(とひ)飲みたえ民(たみ)の一夜酒(崑山集)
- 今朝よ雌(め)の雉子さく座敷のめよ酒(崑山集)
- 今朝何事を男になさけ(毛吹草追加下、南何)
- 今朝嵯峨は御代祝ひ読み和歌ささげ(はした柴)
- 今朝張りし帷子(かたびら)襞(ひだ)か尻は裂け(俳諧廻文百韻)
- 今朝授(さづ)く二字のその師に沓(くつ)ささげ(世話焼草、五)
- 今朝春や勇む万歳やるは酒(とはず口)
- 今朝皆はへた歌うたへ花見酒(崑山集)
- 今朝皆は飲まじ小島の花見酒(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 今朝祝ひ飲めや菖蒲の祝ひ酒(夢見草、五)
- 今朝酔(ゑ)うた野辺の早苗の田植酒(夢見草、五)
- 今朝飲むが自慢ぞむまし寒の酒(鷹筑波、五)
- 今疾(やま)い数を直すか今疾い(紙屋川水車集、第九)
- 仕方なし見越しの仕込み品高し
- 仕舞う撥(ばち)呑みし馴染の癡話(ちは)旨し(種くらべ)
- 付けつ縄(なは)牛をや惜しう花付けつ(紙屋川水車集、第三)
- 代の仕向け一門もちひ(い)源氏の代(紙屋川水車集、第八)
- 伊丹が見たい
- 伊予路みちよい伊予路みちよい(毛吹草追加下、春日何)
- 伊勢の戻りか借り供の勢(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 似せ武家を廓で悪く桶伏せに(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 住の江の岸には錦野辺の水
- 住居に居ます
- 作意せよ勝負(かちまけ)間近よせ軍(いくさ)(世話焼草、五)
- 供の入りしは走井(はしりい)のもと(廻文俳諧之歌仙)
- 供の名は平(へい)どのと言へ花のもと
- 信心(しむじむ)よ残るべきはらみつた歌罪らは消へるこのよむしむし(心経にならい、(廻文歌百首))
- 信濃名はしら波ならし花の梨(崑山集)
- 元の主(しう)宿乞ふ門や宇治の友(芦辺の鶴)
- 元の名はかりの名乗りか花の友(雑体句集)
- 元の名は蝶(てふ)とや問ふて花の友(はいかい神勅撰)
- 元の名は隠さず咲くか花の友(廻文俳諧之歌仙)
- 元伐るかにくきぞ菊にかるき友(崑山集)
- 元法(のり)の扇を祗王法の友(しけり柳、上)
- 其角(きかく)めは濡れしか知れぬ嵌句(はめく)書き
- 冤(むじつ)つつしむ冤慎む(俳諧廻文百韻)
- 冷(ひえ)に今朝飲むかやかんの酒に酔(え)ひ(毛吹草六、廻文之発句)
- 冷たきは雪こそみ雪掃き溜めつ(俳諧廻文百韻)
- 冷の気寒く酌む酒の酔(えひ)(毛吹草追加下、春日何)
- 出(て)しか雛小隅(おすみ)の翠簾(みす)を靡(なび)かして
- 出しまでとう(ふ)か甲(かぶと)出ました(毛吹草追加下、春日何)
- 出し野をば雁(がん)が帰雁(きがん)が羽(は)をのして(毛吹草追加下、南何)
- 出ていきつ山や葉山や月出でて(毛吹草追加下、南何)
- 出てみよと告げい名月とよみ出て(毛吹草追加下、南何)
- 出て見さい花見に皆はいさみ出て(世話焼草、五)
- 出入り問ひ安きに寄(き)すや独(ひとり)居て(廻文俳諧之歌仙)
- 出替りをすれば身晴(はれ)す折分かで(廻文俳諧之歌仙)
- 出来た火を手向(たむけ)にけむたお火焼(た)きて(紙屋川水車集、第一)
- 出来ぬ日は耕せや肩肌ぬぎて(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 出来日永(ひなが)のち道々の叶ひ来て(紙屋川水車集、第一)
- 出来来つつ黒雲くろく続き来て(世話焼草、五)
- 分かる旅でぞ袖ひたる川(紙屋川水車集、第三)
- 利無くぞ市の後(のち)急ぐなり(如何)
- 力(りき)を出し杣(そま)山々ぞ下を切り(毛吹草追加下、春日何)
- 勇む眼(まなこ)ぞ其処(そこ)な万歳(まんざい)(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 北のあの滝北のあの滝(世話焼草、五)
- 北風や草花は咲くやせがたき(魚の歌合)
- 十三夜(よ)月影かきつ読む草紙(紙屋川水車集、第四)
- 半(なかば)咲く花南なは草葉かな(毛吹草六、廻文之発句)
- 半(なかば)地を軒な柳の落葉かな(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 半ば出たくさびらひさぐ立場(たてば)かな(新編柳多留、19)
- 半ば地を掃きし錦は落葉かな(峯の嵐)
- 半木(なかはぎ)の梅(むめ)咲きさめむ軒端哉(世話焼草、五)
- 半木(なかばき)のはな初花は軒端かな(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 参る鷹野と殿かたる今(紙屋川水車集、第一)
- 又あたまはると躍るはまたあたま(紙屋川水車集、第八)
- 又うちやるややるや中玉(ちうたま)(毛吹草追加下、春日何)
- 又明けばむきつる頭巾はげあたま(世話焼草、五)
- 又飛びぬ女(め)と男(お)とあはれぬし知らじ死ぬれは跡をとめぬ人玉(吾吟我集10、廻文哀傷・古今夷曲集、八)
- 友が居し山の木の間や椎が本(毛吹草追加下、春日何)
- 友が居し山や葉山や椎が下(もと)(毛吹草六、廻文之発句)
- 友が居し山陰か間や椎が本(もと)(世話焼草、五)
- 友の名はそれたれたれぞ花のもと(崑山集)
- 友の名は草刈か咲く花のもと(立圃句集、下)
- 友の子の来つ月のこの下(もと)(廻文俳諧之歌仙)
- 友の曳(ひき)がな長き日のもと(廻文俳諧之歌仙)
- 友の来た春寄りよるは滝のもと(毛吹草追加下、南何)
- 友の来た狩かや狩か滝のもと(崑山集)
- 友の来ついざ見ん見さい月のもと(崑山集)
- 友の来つるは夜よる月のもと(毛吹草追加下、春日何・紙屋川水車集、第四))
- 友の来つるは春月(はるつき)のもと(毛吹草追加下、南何)
- 友の来つ子規猶鳴きし月の下(もと)(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 友の来つ筵(むしろ)かろしむ月のもと(世話焼草、五)
- 友の気が狢(むじな)も馴染む垣のもと(たねふくべ、六)
- 友の気晴らし白萩のもと(前句:珍しい事やとたれも賞翫す、花もん日)
- 叢芦(むらあし)有るか苅る芦あらむ(毛吹草追加下、南何)
- 只雁鳶か飼鳥かただ(紙屋川水車集、第二)
- 名がたった見すかすかすみ龍田哉(崑山集)
- 名が無きを悔み炭焼く翁かな(世話焼草、五)
- 吝(しわ)い家尾鰭の礼を中(ちう)鰯(いわし)(新編柳多留、25)
- 告げん端(は)の間や山の半月(廻文俳諧之歌仙)
- 呑(の)もなればこんな花聟(はなむこ)晴れなもの(折句紀の玉川、四)
- 呼ばばおばばよ呼ばばお婆よ(紙屋川水車集、第一)
- 呼ぶのしそれぞそれぞ忍ぶ夜(紙屋川水車集、第二)
- 和歌かなふ世か通ふ中川(紙屋川水車集、第一)
- 和歌の師よ花嫁よ名は吉野河(崑山集)
- 咲くいなばもどれどれとも花軍(はないくさ)(毛吹草追加下、南何)
- 咲くかづはだんでかこんだ廿日草(崑山集)
- 咲くかづはどれより選れと廿日草(崑山集)
- 咲くかづは知らじやしらじはつか草(崑山集)
- 咲くことを喜ぶころよ男草(夢見草、五)
- 咲くに惜し見ぬかゆかぬ身紫苑(しをに)草(毛吹草六、廻文之発句)
- 咲くに惜し馬(むま)はや喰(は)まぬ紫苑(しをに)草(毛吹草追加下、春日何)
- 咲くは咲く地や八千ぐさは草(紙屋川水車集、第二)
- 咲く数は十(とを)とや十と廿日草(夢見草、五)
- 咲く日まず取る手や出るとすまひ草(崑山集)
- 咲く色よいざ皆見さい鎧草(夢見草、五)
- 咲く色よ出立つた躰(てい)よろい草(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 咲く色よ白しなしろしよろい草(崑山集)
- 咲く色よ花にも似なば鎧草(花もん日)
- 咲く花は咲く草花は草(視聴草、四集二)
- 咲く野辺のよき葉のはぎよ野べの草(崑山集)
- 品とめんつぎ木手ききつ梅(むめ)と梨(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 品もろいしら露つらし色もなし(崑山集)
- 品もろい白菊切らじ色もなし(毛吹草追加下)
- 品も憂や村雨さらんやうもなし(世話焼草、五)
- 品川に片側方が庭がなし(たねふくべ、六)
- 品玉もおかしな舞も待て暫し手間も暇なし香をもまたなし(藤原隆信朝臣集)
- 問いとめよ花折るお名は詠めと人(崑山集)
- 問ひぬらし花の其の名は知らぬ人(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 嚏(くさめ)し鼻は花はじめ咲く(紙屋川水車集、第四)
- 国の御(み)田稔れ夫(つれ)のみ民の肉(新編柳多留、23)
- 土佐の駒野飼や伊賀の馬子の里(花もん日)
- 地まるく法(のり)の法の車路(紙屋川水車集、第九)
- 地震(ぢしむ)は無実(むじち)地震は無実(紙屋川水車集、第四)
- 坂にのみ夜雉子来よ蓑に笠(はした柴)
- 坂の名は知らず越すらし花の笠
- 坂の春べぞ添へる羽(は)の笠(廻文俳諧之歌仙)
- 垣が又花の園名はたまがきか(紙屋川水車集、第二)
- 城ぞおそろし城ぞおそろし(毛吹草追加下、春日何)
- 堅田あたたか堅田あたたか(紙屋川水車集、第五)
- 塀見ずか戸口にちくと霞家(霞、崑山集)
- 塒(とや)逃げたひよこも今宵竹に宿
- 塗りと刃おちた太刀をば取りぬ(毛吹草追加下、南何)
- 墓と浪(なみ)のこして死後の湊川(新編柳多留、26)
- 声高(こはだか)なあかがり嬶(かかあ)永(なが)たばこ(新編柳多留、19)
- 夏書(げがき)つづれば晴れつ月影(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 外(ほか)に気の虫の音のしむ軒に顔(俳風桜樽、三)
- 外の名はしらじ見知らじ花の顔(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 外の名は霞に見ずか花の顔(世話焼草、五)
- 外延びき妙(たえ)な花枝貴妃の顔(紙屋川水車集、第九)
- 夜の子(ね)の夜銀座はさむき夜の子の夜(紙屋川水車集、巻軸)
- 夜は更けるいく年まかで七夕は名たてがましと悔いる今日(けふ)はよ(紙屋川水車集、下)
- 夜も百夜(ももよ)かよふ逢ふ夜か夜も百夜(紙屋川水車集、第二)
- 夜寒さのことし身にしむ妻戸とぞと松虫に見し床(とこ)の寒さよ(日導作)
- 夜寒さよしばしよしばし夜寒さよ(崑山集)
- 夜着がな着たき着たき永き夜(毛吹草追加下、南何)
- 大工は来つつ続きはぐ板(毛吹草追加下、春日何)
- 大工繕(つくろ)ひ広くつく板(俳諧廻文百韻)
- 大風(たいふう)びうびう吹いた
- 太鼓をしばししじしおこいた(毛吹草追加下、南何)
- 如何にも苦(にが)い
- 妹がそんならなんぞかと思い(三種尺初)
- 妻の在(ま)す筺(かたみ)と見たか須磨の松(桃人評万句合)
- 妻の琴やさしらしさや床の松
- 妻やまつ牡鹿鳴かじを妻や待つ(崑山集)
- 妻をとひ霞しみずか人をまつ(紙屋川水車集、第二)
- 妻戸か立てた立てた門松(紙屋川水車集、第一)
- 妻戸によ問ひ寄れよ人夜にと待つ(毛吹草追加下、南何)
- 妻戸人待つ妻戸人待つ(紙屋川水車集、第五)
- 妻戸通はば幅よ門松(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 姑へも手出しをしたで燃え通(とう)し
- 威勢このみか神の御(ご)いせい(毛吹草追加下、春日何)
- 嫁よ名は何なに何な花よめよ(紙屋川水車集、第二)
- 嫁入を致した次第折忌めよ(紙屋川水車集、第四)
- 子は誰ぞ二度まで窓にそれた羽子(はご)
- 子規猶鳴きし子規猶鳴きし(毛吹草追加下、南何)
- 字に暗き田舎は家内気楽にし(入舩狂句合)
- 孫乗るは喜ぶ頃よ春の駒
- 孫抱かば太鼓羽子板博多独楽
- 定家かはよむよ句よむよ若楓(わかかいで)(崑山集)
- 定家かわいさむせんさいわか楓(かいで)(世話焼草、五)
- 定家たつしるしはしるし蔦(つた)楓(紙屋川水車集、第二)
- 宜野(むべの)とや草花はさく宿の辺(毛吹草追加下、南何)
- 実る蔦錦木岸に立つるのみ(紙屋川水車集、巻軸)
- 実体(じつてい)よすねずくすねずよい丁稚
- 宮の灯(ひ)よ白げにけらし宵の闇(俳諧廻文百韻)
- 宮は火きえた絶えき火は闇(毛吹草追加下、南何)
- 家にけさ屠蘇(とそ)酒さぞと酒に酔(え)い(毛吹草六、廻文之発句)
- 家に今朝(けさ)酒あげあげざ酒に酔(え)い(紙屋川水車集、第三)
- 宿で待てとや宿で待てとや(紙屋川水車集、第四)
- 宿もと惜しむ虫を友とや(魚の歌合)
- 宿も爰(ここ)茸(たけ)狩りかけた爰許や(紙屋川水車集、第三)
- 宿り遂げぬは羽抜鳥とや(廻文俳諧之歌仙)
- 宿る露玉は軒端の葉に繁し庭の萩の葉またゆず(づ)るとや(廻文歌百首)
- 寄せん瀬か問ひ一合戦せよ(紙屋川水車集、第三)
- 寄りつ祭よよりつ祭よ(紙屋川水車集、第九)
- 寄るも寄るも番は夜番は守(も)るよ守るよ(毛吹草追加下、春日何)
- 寄るよ皆堤に見つつ波よるよ(毛吹草追加下、春日何)
- 寄進の畳弥陀頼む時宜(じぎ)(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 寛(くつろ)いだ間や山田色付く(廻文俳諧之歌仙)
- 寝ずのかじ待夜の夜妻鹿のすね(崑山集)
- 寝たひまを私(わたし)にしたはお前(まひ)だね(俳風国恩会狂句)
- 寺なるよ照る日は昼で夜ならで(毛吹草追加下、春日何)
- 小猫の芸よよい毛の小猫(毛吹草追加下、南何)
- 屠蘇(とそ)は妻蓬莱老母松は外(新編柳多留、16)
- 山し絵どりき霧と絵島や(紙屋川水車集、第二)
- 山や野を雪花は消ゆ小野山や(毛吹草追加下、南何)
- 山家(やまが)は賤(しづ)も持つ柴鎌や(毛吹草追加下、南何)
- 岸が峻(さが)しき岸が峻(さが)しき(毛吹草追加下、南何)
- 岸にさく堤に見つつ草錦
- 岸に咲くげんげやげんげ草錦
- 岸に葉の柳退きなや野は錦(夢見草、五)
- 岸に野の萩かや垣は野の錦(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 岸に野の錦や岸に野の錦(狐の茶袋、三)
- 岸の片股(かたもも)鷹の食(じき)(卜養狂歌集)
- 岸ひこの松が汀(みぎは)に琴の音のとこには君が妻の恋しき(旅立ちの際無事帰宅のまじないに唱えた)
- 岸涼ししき岸し涼しき(紙屋川水車集、第二)
- 岸間さす夜舟ふるよ冷(すさま)じき(紙屋川水車集、第三)
- 島さす筏たがい冷(すさま)し(紙屋川水車集、第八)
- 島田をだまし
- 崩しなば寒さやさむさ鼻雫(しずく)(世話焼草、五)
- 嵯峨にのみ育つた蔦(つた)ぞ蓑(みの)に笠(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 嵯峨に来つかすめて召すか月にかさ(嵯峨にて、嵐山集)
- 嵯峨のきつよきか長き夜月の笠(嵐山集)
- 巣低うかけた竹か鶯(毛吹草追加下、春日何)
- 師也子に物くしくのも濁り無し(折句紀の玉川、四)
- 師走(しはす)事無(な)みみなと越す橋(紙屋川水車集、巻軸)
- 年は気に順(したが)ひがたし賑はしと(廻文俳諧之歌仙)
- 庇(たばひ)すな悔むは無益(むやく)なすび畠(崑山集)
- 床延べよ何だえ旦那よべのこと
- 庵(いお)咲く萩の軒端(のきば)草生(お)い(芦辺の鶴)
- 延びる日の堤(つつみ)や見つつのびる日の(雑体句集)
- 式部ぞ軒端萩のそふ岸(紙屋川水車集、第四)
- 弓も矢も見ゆ弓も矢もみゆ(毛吹草追加下、春日何)
- 弓張り取らむむら鳥は見ゆ(視聴草、第四集二)
- 弓鑓(やり)や見ゆ弓鑓(やり)や見ゆ(毛吹草追加下、南何)
- 弟子に児(ちご)野かいは鳳凧(いか)の東風(こち)にして(峯の嵐)
- 弟子医ます賑ふわきに住居して(廻文俳諧之歌仙)
- 弥(いや)かるく鶯低う来るかやい(毛吹草追加下、南何)
- 弥宜(やぎ)が杵(きね)
- 弥陀に見たくば箔彩(はくだ)みにだみ(毛吹草追加下、春日何)
- 弱からじもまる車も白川よ(紙屋川水車集、第七)
- 形見を見たかかたみを見たか(毛吹草追加下、南何)
- 彦六も今日(けふ)また儲(まふ)け持ち運び(廻文俳諧之歌仙)・続誰が家・足薪翁記
- 彼岸に花は花葉にむかい(ひ)(毛吹草追加下、南何)
- 待つに文やり宵よりや三符(みふ)に妻(崑山集)
- 待つはつらいと苛(いら)つは妻
- 待つ夜来よ妻待つ夜来よ妻(毛吹草追加下、南何)
- 待つ日のしるししる忍妻(世話焼草、五)
- 待つ無駄寝廓を悪く妬む妻
- 御万歳(ごまんざい)来たで目出度き勇む孫(新編柳多留、30)
- 御仮屋(みかりや)はひら並ならび時行(はやり)神(廻文俳諧之歌仙)
- 御法(みのり)塵の身御(みみ)のりちりの身(紙屋川水車集、第一)
- 御異見がしみてして見し寒稽古(新編柳樽、六)
- 御簾(みす)かくか山の木の間やかく霞(世話焼草、五)
- 御簾買つた彼岸にむかひ立つ霞(世話焼草、五)
- 御簾透きつ内裏がり行た月涼み(紙屋川水車集、第一)
- 御頭(おかしら)も取手みてりと洩(もら)し顔(廻文俳諧之歌仙)
- 思ひなば解い(ひ)て待て人花紐を(廻文俳諧之歌仙)
- 怪我をしば悔やむも無益(むやく)梯(はし)を掛け(俳諧廻文百韻)
- 恋の憂き何ぞに損な灸の已後(いご)(折句紀の玉川、四)
- 恥じ身も楽を小倉紅葉ば(紙屋川水車集、第二)
- 悋気(りんき)言ひ泣くなよ泣くな贔屓(ひいき)無理(毛吹草追加下、春日何)
- 悋気無理日永(ひなが)はかない悋気無理(紙屋川水車集、五)
- 悋気言ひ腹立てたらば贔屓(ひいき)無理(俳諧廻文百韻)
- 惜しきをぞ見つむら草や名は知らじ花や咲くらむ摘みぞおきしを(摘草)(廻文歌百首)
- 惜しめどもついにいつもと行(ゆ)く春は悔ゆともついにいつもとめじを(悦目抄・海録、二)
- 慈悲よきと寺で御寺で斎(とき)よ非時(ひじ)(毛吹草追加下、南何)
- 憎いなふ素股(すまた)でだます舟比丘尼(新編柳多留、二六)
- 我がたつた雉子にやにしき龍田川(崑山集)
- 我が庵(いお)を慕はば渡し大井川(廻文俳諧之歌仙)
- 我が水な流れ寄れかな菜つみ川(七種、崑山集)
- 我が留守待とう疎(うと)まするかわ(廻文俳諧之歌仙)
- 我が立つ岸にも錦龍田川(廻文俳諧之歌仙)
- 我が衣ぬらして知らぬもろこ川(峯の嵐)
- 戸波よせ設けを今日(けう)もせよ湊(紙屋川水車集、第一)
- 戻つたぞ時鳥(ほととぎす)はや来つ鳴けな月やは杉戸とぼそたつとも(子規、廻文歌百首)
- 戻るべき好(よしみ)積みしよ消え(へ)るとも(廻文俳諧之歌仙)
- 戻ろう(ふ)か二階は如何に禿(かぶろ)ども(磯の波・花紋日・小塩山)
- 所(とこ)知れぬ湯治は姑(しうと)ぬれ仕事(柳風狂句合)
- 手うち打て童(わらわ)よ童手打ち打て(紙屋川水車集、第一)
- 手からはや嗜(たしな)みなしたやはらか手(毛吹草追加下、南何)
- 手のひらは無しやあやしな蕨(わらび)の手(崑山集)
- 手はのこるまじ詰まる碁の果(俳諧廻文百韻)
- 手打て打て蝶(てふ)舞ふまふて手うてうて(胡蝶、崑山集))
- 手撫で寝肌は肌は寝て撫で(紙屋川水車集、第二)
- 折の至ればはれた祈を(廻文俳諧之歌仙)
- 折りかざし人訪(と)いて来(き)見その花は望み来て人とひしさかりを(紙屋川水車集、下)
- 折るな枝野菊の茎のたえなるを(峯の嵐)
- 折るな枝鶯ひくう妙(たえ)なるを(廻文俳諧之歌仙)
- 折るな花注連(しめ)して〆(しめ)し縄(なは)なるを(さへづり草、浅草寺本堂のうしろの千本桜につけた回文の禁札)
- 拙(つたな)き中ははかなき名立つ(毛吹草追加下、春日何)
- 掃きのけた雪や早や消ゆ竹の際
- 摘み除けい蓼(たで)の穂の出た池の水(毛吹草六、廻文之発句)
- 摩耶に来つよい景景よ月に山(まやのくわんおんの御まへにて、崑山集)
- 摩耶の北よき清滝の山(紙屋川水車集、第三)
- 摺(すり)切りき壁にもにべかきりぎりす(世話焼草、五)
- 数があひ夜(よ)まに訪(と)ひきし生駒山恋しき人に迷ひ明かすか(寄山恋、廻文歌百首)
- 敵は引く切り取り取りき首は来て(毛吹草追加下、春日何)
- 敵時よきと時よきと来て(毛吹草追加下、南何)
- 敷島や定家の書いて山色紙(筑丈評万句合)
- 敷砂はきよみぞ見能き花透きし(廻文俳諧之歌仙)
- 文字の躰(てい)手品やなしで井手の霜(崑山土塵集)
- 斑々(むらむら)し消ゆ山や雪白むらん(世話焼草、五)
- 斯(か)く薫(た)く香仕(かし)ぬ主(ぬし)かく薫くか(毛吹草追加下、南何)
- 日ころ喜び日ころ喜び(廻文俳諧之歌仙)
- 日ごろよき人問ひき喜び(俳諧廻文百韻)
- 日ごろよき家内は世継継ぐとく継ぎつ齢(よはい)長き喜び(廻文歌百首)
- 日ぞあてのどか門(かど)の手遊(てあそび)(廻文俳諧之歌仙)
- 日ぞあまた長閑な門の玉遊び(毛吹草追加下、春日何)
- 日の南雪や早や消ゆ南の日(毛吹草追加下、春日何)
- 日は亥の子後をゆお乳(ち)の児(こ)の祝ひ(峯の嵐)
- 日は亥の子餅をぞお乳(ち)も子の祝(毛吹草六、廻文之発句)
- 日は亥の子餅食へくちも子の祝(いはひ)(崑山集)
- 日は和泉(いづみ)尽きても出来つ水祝ひ(享保12年信州万句合、廻文歌仙・月花集)
- 日影さすのどかや門(かど)の酢酒買(かひ)(夢見草、15)
- 日脇ただ越いたる太鼓たたきわび(世話焼草、五)
- 日頃よい長くよき春今伊勢い参るは清く家内よろこび
- 日頃世を取る事こるとお喜び(折句紀の玉川、二)
- 早や戻る酒手(さかて)車かエイやらや家がまるくて飾るともやは(廻文歌百首)
- 星月をすますゆすます興津塩(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 星月を書くか絵がくか沖つ汐(しほ)(月、崑山集)
- 春べぞ庵に匂い添へるは(廻文俳諧之歌仙)
- 春日は神事神事は春日(毛吹草追加下、南何)
- 春日野と春日(はるひ)のひるはどの春日(かすが)(紙屋川水車集、第一)
- 春来るは百鳥(ももとり)共も春来るは(毛吹草追加下、春日何)
- 時に隔(へだち)の後(のち)絶へにきと(廻文俳諧之歌仙)
- 時世見る様のよしよし何処もかも今年よし世の優(すぐ)る身よきと(賀)(廻文歌百首)
- 景寒(さむ)し雪早(はや)は消ゆ新(しむ)在家(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 晴立つも名高き刀持つたれば(廻文俳諧之歌仙)
- 暗くば泣くな泣くな伯楽(紙屋川水車集、巻軸)
- 曳かむ馬子こや見ん都駒迎ひ(毛吹草追加下、廻文之発句)
- 最上川渡り懲りたはわが身かも(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 月に又よきは小萩よたまに来つ(はした柴)
- 月に又村雲くらむ玉に疵(きづ)(東宰府天満宮奉額狂句合)
- 月に又止(や)めぬあの雨や玉に疵(きづ)(夢見草、五)
- 月に聞き砧(きぬた)を狸聞きに来つ(紙屋川水車集、第四)
- 月の下(もと)野もよき四方(よも)の友の来つ(廻文俳諧之歌仙・俳諧廻文帖)
- 月ひと男ことを問ひ来つ(魚の歌合)
- 月も見き喜ぶころよ君も来つ(夢見草、五)
- 月を嵯峨霧ふり降りき笠を着つ(毛吹草追加下、南何)
- 月を常くず屋は安く寝つ起きつ(とはず口・梅の艶・新編柳多留、13)
- 月を常に見たか互(かたみ)に寝つ起きつ(毛吹草六、廻文之発句)
- 月出(い)でて問(とひ)に人出ていきつ(毛吹草追加下、春日何)
- 月星浮ぶふかう汐来つ(毛吹草追加下、春日何)
- 月照れば靄(もや)も百屋(ももや)も晴れて来つ(狐の茶袋、三)
- 月遅き野萩の際の木曾を来つ(はした柴)
- 木々の名は問へかし買へと花の木々(花をうりに来ければ、崑山集)
- 木か竹か見すかす霞影高き
- 木がきつう切りとり取りき卯木垣(毛吹草追加下、南何)
- 木がきつう折るを手(た)折るを卯木垣(うつぎがき)(毛吹草六、廻文之発句)
- 木が名は知れき切れし花垣(世話焼草、五)
- 木曽の奥主(しう)持つも憂し苦を除き(芦辺の鶴・新編柳多留、10)
- 末ありと花見に皆は取りあへず(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 杉伐(き)った山の木の間や立つ雉子(きぎす)
- 杉戸乏しき岸ほととぎす(廻文俳諧之歌仙・世話焼草、五)
- 杉戸戸を叩け鳴けただほととぎす(世話焼草、五)
- 杉戸戸細に待つ間にぞ時鳥(ほととぎす)(九逸大松両霊追福句合)
- 杉戸枢(とぼそ)妻戸とまつぞほととぎす(崑山集)
- 村の菜時は萩と名のらむ(峯の嵐)
- 村の馬子戻りなりとも駒乗らむ(毛吹草追加下、南何)
- 村伝へ御簾かは霞へだつらむ(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 村癖か山人でまや稼ぐらむ(俳諧廻文百韻)
- 村雨や晴れじと知ればやめざらむ(毛吹草追加下、春日何)
- 村雨や月さ笠着つやめざらむ(紙屋川水車集、第五)
- 杖軽(かろ)し持ちたる太刀も代替えつ(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 来し日こじつつつつじ恋しき(紙屋川水車集、第二)
- 東風(こち)吹かましを押しまかふ児(ちご)(廻文俳諧之歌仙)
- 松の戸や茸狩かけた宿の妻(狐の茶袋、三)
- 松の木のしら露つらし軒のつま(世話焼草、五)
- 松の木ののびる春日(はるひ)の軒の妻(毛吹草追加下、春日何)
- 松の木のやさしきふさや軒の妻(ごまかしの回文、はした柴)
- 松の木の梅(むめ)や悩めむ軒の妻(立圃句集、上・崑山集)
- 松の木の雪やはや消ゆ軒の妻(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 松の木の霞は見ずか軒のつま(崑山集)
- 松の木長閑(のどか)門軒の妻(紙屋川水車集、第一)
- 松焚きて貰ふ湯風呂も出来た妻(種くらべ)
- 松茸に手出しをしたで逃げた妻(蔦蔓恋之花菱)
- 板落作(いたらくさく)や焼く桜鯛(紙屋川水車集、第二)
- 染屋は出来て速めぞ(俳諧廻文百韻)
- 柴のき花は花は気のばし(紙屋川水車集、第一)
- 柴の戸や畑(はた)打つ唄は宿の端
- 柴の戸や虫を寝惜しむ宿のはし(はした柴)
- 柴の戸や霧なくなりき宿の橋(毛吹草追加下、春日何)
- 柴敷きつ片野辺の鷹月暫し(はした柴)
- 柴筏来る櫂かるく高い橋(折句紀の玉川、四)
- 柿ある屋にて手に遣(や)る秋か(毛吹草追加下、南何)
- 桃さく早(さ)桃咲くさ桃(毛吹草追加下、南何)
- 桃の木かよく咲き咲くよ垣のもも(崑山集)
- 桃の木のなるをば折るな軒のもも(崑山集)
- 桃の辺やしろし真白し八重のもも(崑山集)
- 桃李(すもも)かつ数かつか桃李(崑山集)
- 棟木の外(と)そこで地(じ)をみず猫なけな小鼠怖じてこそとのきなむ(後撰夷曲集八、廻文哥)
- 樒(しきみ)摘み来ししきみ摘み来し(紙屋川水車集、第三)
- 正(まさ)しくや春信じるは薬師さま(雑春、崑山集)
- 此の子猶羽根つく常は女子(おなご)の子(毛吹草追加下、春日何)
- 此の相図見れば憐(あはれ)みつひあの子(廻文俳諧之歌仙)
- 此の類が下水(したみず)みたしかいるの子(毛吹草六、廻文之発句)
- 母の乳(ち)の養ひ無しや後の母(信州万句合集)
- 比(ころ)も無(な)ふ下水(したみず)みたし鮒もろこ(毛吹草追加下、春日何)
- 比(ころ)も無(な)ふ春とや取るは鮒もろこ(毛吹草六、廻文之発句)
- 比も経ば流れ寄れがな鮠(はへ)もろこ(毛吹草追加下、南何)
- 水(みづ)のかた村鳥とらん鷹のつみ(崑山集)
- 水(みな)底ききよき清きこそ波(毛吹草追加下、南何)
- 水冷(つめ)た鴛(をし)はとはじを溜堤(狐の茶袋)
- 水出でた以後や冷(ひや)こいだて泉(紙屋川水車集、巻軸)
- 水泉(いづみ)むまくや汲まむ水泉(夢見草、五)
- 水無月を宿せる瀬戸やおきつ波(鷹筑波、一)
- 水無月を皆見や皆見沖つ波(夢見草、五)
- 水車杵臼溶木(うねき)まるく積み(はした柴)
- 永い(ひ)冬春永なるは夕日かな(崑山集)
- 永き日に舞蝶(ぶてふ)とぶ蝶二疋かな(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 永き日に馴染むは狢(むじな)二疋かな
- 永き日をもる花春も老木哉(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 永き日を軒端椿の老木(おひき)哉(雑体句集)
- 永ひるは楽(らく)ます枕春日かな(世話焼草、五)
- 求めたのりののりの為とも(俳諧廻文百韻)
- 汐(しほ)時海嘯(つなみ)皆月と星(紙屋川水車集、第二)
- 汐と水とぞ外つ見通し(廻文俳諧之歌仙)
- 池に来つ下(した)水見たし月に景(夢見草五)
- 池のみか浪つづけかし遠き滝おとしかけつつ水上(みなかみ)の景(毛吹草追加下、廻文之狂歌)
- 池の北山や狭山や滝の景(毛吹草追加下、春日何)
- 池の北深山(しんざむ)寒し滝の景(雑冬、崑山集・とばず口)
- 池の名はしらずめずらし花の景(旅にて池の花をみて、崑山集)
- 池の岸雪やはや消ゆ四季の景(前句冠付勝句集)
- 池の皆鴨か真鴨が浪の景(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 池の端(は)に雪や早や消ゆ庭の景
- 池の蓮そこ清きこそすはの景(すはの池にて。続山井夏・はいかい歌の徳)
- 池の藻よ花初花は四方の景(毛吹草六、廻文之発句)
- 池の間や富士とは年経(ふ)山の景(紙屋川水車集、第三)
- 池の面(も)よ波ながめむに香りけりほかに梅(むめ)がな皆四方も景(廻文歌百首)
- 泥亀を得てそと袖へ(え)御目借ろと(廻文俳諧之歌仙)
- 活かしなば雉子やあやしき放し飼(鷹筑波、一)
- 流しつつ波のま残る川の瀬の分かる木の間のみなつつじかな(廻文歌百首)
- 流しつつ生けしは繁いつつじ哉(毛吹草六、廻文之発句)
- 流し元虫探さしむ灯(ともし)かな
- 淀ぞ爰(ここ)初旅だつは爰ぞとよ(毛吹草追加下、春日何)
- 淀城の距(へだ)つを伝へ狼火(のろし)とよ(廻文俳諧之歌仙)
- 淀路(よどぢ)どちとよ淀路どちとよ(毛吹草追加下、南何)
- 添いなれつのちのちのちのつれないぞ(紙屋川水車集、第一)
- 湊なは錦か岸に花と波(崑山集)
- 湊川苫のぞきつつ回りけり浜続きその窓は門(かど)なみ(吾吟我集10、廻文哥、雑)
- 満月に千町(ちまち)市町荷付け馬(はした柴)
- 滋賀むかし知ればあはれし滋賀むかし(紙屋川水車集、第八)
- 火は庭に神の好みか庭庭火(紙屋川水車集、第九)
- 灸いや艾(もぐさ)臭くも灸いや(毛吹草追加下、南何)
- 炭かま霞み見ず竈(かま)か見ず(紙屋川水車集、第二)
- 炭くろくただ只くろくみず(毛吹草追加下、南何)
- 炭焼く男事を悔(くや)みず(俳諧廻文百韻)
- 無かつた子出来たを抱きて炬燵(こたつ)かな(種くらへ)
- 無念さ胸に二年三年(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 無念を狐熱気怨念(俳諧廻文百韻)
- 無言真言無言真言(紙屋川水車集、第七)
- 焼け竹やとんどやとんど焼け竹や(夢見草、五)
- 焼芋を鳩に餌にとは思ひ(い)きや(入舩狂句合)
- 煤掃(すすはき)よやれ起きおれや夜着(よぎ)は煤(新編柳多留、30)
- 照(てり)は見ゆ月の輪除(の)きつ弓張りて(毛吹草追加下、南何)
- 照りての日水なくなづみ日の昊(て)りて(紙屋川水車集、第一)
- 照りて来つ室町まろむ月てりて(紙屋川水車集、巻軸)
- 照りて来つ西に真西に月てりて(毛吹草追加下、春日何)
- 照り降りき庭よく夜半に霧ふりて(視聴草、四集二)
- 照れ月日小松に妻子(つまこ)引連れて
- 照れ月日村牛売らむひきつれて(紙屋川水車集、第二)
- 熊野の春は張るは布幕(ぬのまく)(紙屋川水車集、第一)
- 熊野湯治を落人(おちうど)の幕(折句紀の玉川、二)
- 爪琴を向ひてひかん男松(毛吹草追加下、春日何)
- 爰(ここ)ぞとよ子規(しき)鳴き鳴きし淀ぞここ(夢見草、五)
- 片意地餅も餅も強いたか(紙屋川水車集、巻軸)
- 片里や軒端の萩の宿さだか(新編柳多留、二)
- 独りのみ悲しき品か御法(みのり)問(とひ)(毛吹草追加下、春日何)
- 狸威(おどし)よよし遠砧(廻文俳諧之歌仙)
- 猪(しし)と猪鹿添ふぞかし猪としし(崑山集)
- 猪(しし)の怒りか狩か猪(い)のしし(紙屋川水車集、第八)
- 理を自(おの)づ感じ鬼神が角(つの)を折り(柳風狂句合)
- 理屈なはのけん鈍げの花作り(花、崑山集)
- 理屈なは手品やなして花づくり(夢見草、五)
- 理屈なは槍梅(やりむめ)無理や花つくり(世話焼草、五)
- 理屈なは駄目だぞ駄目だ花作り(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 理発あぐひす巣引く梁(うつばり)(はした柴)
- 生垣(いけがき)は手品をなして萩が景(けい)(毛吹草追加下、春日何)
- 生垣はむばら嫌はむ萩が景(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 生花(いけばな)は床見よ見事花は景(崑山集)
- 田うえ哥(うた)小田うえ歌を田うえうた(紙屋川水車集、第四)
- 田の草取ると取ると作の田(紙屋川水車集、第四)
- 田はやはためぐめや恵め田は八幡(紙屋川水車集、第一)
- 田は月かしろし白しや杜若(はした柴)
- 田は月か影か日影か杜若(かきつばた)(毛吹草追加下、春日何)
- 田は月か野べは沢(さは)べのかきつばた(鷹筑波、五)
- 田掻け明方田かけ明方(紙屋川水車集、第五)
- 田植うたえ歌はば田うえ田植哥(毛吹草六、廻文之発句)
- 田植唄ふたつや伝ふ田植唄(鷹筑波、四)
- 田植唄歌うや歌う田植唄
- 田舎舞にて憂き腕に際(ひま)がない(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 田返す野べの野べの末かた(紙屋川水車集、第三)
- 田鶴(たづ)たち立った田鶴(たち立った(毛吹草追加下、春日何)
- 田鶴たつか羽早はねは且つたつた(毛吹草追加下、南何)
- 留守守(もり)もする留守守もする(廻文俳諧之歌仙)
- 留守守る日若夫婦かは昼もする(しけり柳、中)
- 病む沙汰は果さぬ沙汰は肌寒や(毛吹草追加下、南何)
- 痩せ畑(はた)荏胡麻(えごま)孫へ賜(たば)せや(はした柴)
- 白しはな注連(しめ)しやしめし苗代し(紙屋川水車集、第一)
- 白むかと問ひよるよしに求めきめ供にし寄るよ人咎むらし(魚の歌合)
- 白川のたうのねぶりの皆めざめ波のり舟の歌の和歌らし(古歌にならい、廻文歌百首)
- 白波の消ゆは淡雪のみならし(世話焼草、五)
- 白波の船ばたはのう(なふ)波ならし(毛吹草追加下、南何)
- 白波の高き音すら長浜は必らず遠き方のみならし(藤原隆信朝臣集)
- 白萩のもとに蘭咲く名はしるし花くさむらに友の気晴し(毛吹草追加下、廻文之狂歌)
- 白萩の垣根は禰宜(ねぎ)が軒端らし
- 白萩を月に見に来つお気晴らし(柳風狂句合)
- 白雪の消ゆる春野か駒しばし馬子が乗る春雪の消ゆらし(毛吹草追加下、廻文之狂歌)
- 白雪は今朝野の草の葉にもつも庭の桜の咲けば消ゆらし(吾吟我集10)
- 白雪は名へつつめども小野山や野を求めつつ経なば消ゆらし
- 白雲もくらし白雲もくらし(紙屋川水車集、第六)
- 白霜は笹の篠笹葉も白し(毛吹草追加下、南何)
- 白霜置きつ月面白し(毛吹草追加下、春日何)
- 白髪好まば浜の木枯(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 皆は留守権七新吾する花見(雑体句集)
- 皆庭にねぶりのり舟庭に波(紙屋川水車集、第二)
- 皆空(くう)の世界なり地も水も火も罪も塵無い風のうく波(廻文歌百首)
- 皆筏出し竿さして高い波(毛吹草追加下、南何)
- 皆見たき折から雁(かり)を北南(毛吹草追加下、春日何・崑山集・廻文之俳諧)
- 皆見たき草花は咲く北南(夢見草、五)
- 皆見たき雁か初雁(そがん)が北南(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 皺(しは)の悔(くゆ)長な日永なゆぐのはし(世話焼草、五)
- 盗(たう)の前清風かよき絵馬の歌(しけり柳、中)
- 盛(さかり)かと梅(むめ)かとがめむとがり空(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 目のたけか御幸(みゆき)月弓影頼め(紙屋川水車集、第二)
- 目の凝るは寒気(かんけ)加減か張る木(こ)の芽(世話焼草、五)
- 目をとめよ梅(むめ)か眺めむ夜目遠目(毛吹草六、廻文之発句・花もん日)
- 目出たしと注連(しめ)し始めし年立てめ(紙屋川水車集、第四)
- 目見おきつさいもみもいざ月を見め(紙屋川水車集、第一)
- 真砂(まさご)地を軽くも来るかお稚児様(毛吹草追加下、南何)
- 真砂よ風が風が横さま(毛吹草追加下、春日何)
- 真砂地をめす笠かすめお児(ちご)さま(霞、崑山集)
- 眠(ねぶ)りしは白露つらし走船(毛吹草追加下、南何)
- 眠(ねぶ)りしは霧の間のりし走り舟(俳諧廻文百韻)
- 眠(ねぶ)りたくざんざざざんざ下り舟(狐の茶袋、三)
- 眠気(ねぶけ)顔月こそ漕ぎつ帆懸け船(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 睦み来し人と跡問ひ樒(しきみ)摘む(毛吹草追加下、南何)
- 矢のし年こす過(すご)し年の矢(紙屋川水車集、巻軸)
- 知らぬげに案山子に鹿がにげぬらし(聴視草、四集二)
- 知らぬ人矢矧(やはぎ)の際や問ひぬらし(毛吹草追加下、春日何)
- 知らぬ身がつい思い出しくどき泣きとく下紐をいつか見ぬらし(廻文歌百首)
- 知らるるは悲しきけなし常闇(とこやみ)やことし嘆きし中晴るるらし(魚の歌合)
- 石曳き放つ綱はきびしい(俳諧廻文百韻)
- 石楠(さくなぎ)をしらなみならし翁草(鷹筑波、二)
- 石間(いしま)さす舟かげかのう(なふ)冷(すさま)じい(毛吹草追加下、春日何)
- 砂山崩(くづ)き築く間やなす(廻文俳諧之歌仙)
- 祖父(じい)の意地
- 祝(いはひ)肴に蜷(にな)が幸(さいはい)(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 祝ひ呑み今朝ぞ屠蘇酒身の祝(新編柳多留、27)
- 神事御神事神事御神事(紙屋川水車集、第五)
- 禰宜(ねぎ)や巫(きね)神楽は楽か禰宜やきね(崑山集)
- 稚(おさな)さをすかすよ賺(すか)す稚さを(毛吹草追加下、南何)
- 種々(くさぐさ)の名は知らぬらし花守も名はしらぬらし花の咲く咲く
- 稲(いな)かき竹かかけた木がない(紙屋川水車集、第七)
- 積み乗るは筏か高い春の水(毛吹草六、廻文之発句)
- 空事と待つ妻戸どこらぞ(紙屋川水車集、第六)
- 立つたりき垣か籬(まがき)か霧たつた(崑山集)
- 立つたるはよややよ春たつた(毛吹草追加下、春日何)
- 立つたるよ鴨か小鴨かよるたつた(崑山集)
- 立つ波のどうどうどうとのみ鳴つた(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 童(わらわ)が咄(はなし)品は変らは(はした柴)
- 童らは刈るかや刈るか童らは(はした柴)
- 笠まるく着よ春はよきくるま坂(崑山集)
- 箆数(のかず)聞き狩取る鳥が雉子(きぎす)かの(毛吹草追加下、南何)
- 米々(よねよね)よ満ち満ちみ米々よ(紙屋川水車集、巻軸)
- 紐をのみよろこぶ比よ身の思(毛吹草追加下、南何)
- 紫竹根朽ちし紫竹根朽ちし(毛吹草追加下、春日何)
- 経(へ)難しと年月事を望むらむその男来つしとと従へ(吾吟我集10、廻文哥・恋)
- 絞(しぼり)かも帷子(かたびら)干(ひ)たかもがりぼし(毛吹草六、廻文之発句)
- 絵馬のみかそなはる花ぞ神の前(住吉みやげ)
- 絵馬のみか花見を見なば神の前(新編柳多留、五)
- 縞は糸よき着よと言はまし(毛吹草追加下、南何)
- 繁る葉のまた引けよ持つ孫の手の小松も余計玉のはるけし(廻文歌百首)
- 繁る葉の間や山のはるけし(魚の歌合)
- 繁る葉をかざして岩間闇くだく深山は出でじ坂も遙けし(藤原隆信朝臣集)
- 罪のきつつももつ月の水(世話焼草、五)
- 罪も消ゆらんむら雪も水(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 群れ集ひ波の数よりどちらやら千鳥よすがの皆人つれむ(廻文歌百首)
- 群芝で見つつ摘み草名はしらじ花咲く見つつ摘みては知らむ(万載狂歌集、15)
- 群草に草の名はもしそなはらばなぞしも花の咲くに咲くらむ(詠草花古歌云、奥儀抄、一)
- 群草の名ははれむ哉(かな)千(ち)たびたびたちながむれば花のさくらむ(後撰夷曲集、廻文哥)
- 老(おい)の来つ雛の身のはし月の庵(いお)(柳風狂句合)
- 老の名は若(も)し友歳も花の庵(新編柳多留、17)
- 老の気は虫の音もしむ萩の庵(芦辺の鶴)
- 聞きしに十度(とたび)ひたと錦木(にしきぎ)(はした柴)
- 聟がねが来んむこがねがこむ(毛吹草追加下、南何)
- 腰撫でて形恥ぢたか父(てて)なし子(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 至孝(しいこう)な子がはて我(わ/は)が子なう恋し(柳風狂句合)
- 色よくばただ取れとただ佩(は)く鎧(俳諧廻文百韻)
- 花の木かのけたき竹の垣の縄(毛吹草追加下、廻文之発句・崑山集)
- 花の木かむすびわび住むかきの縄(鷹筑波、二・崑山集)
- 花の木か手品をなして垣の縄(崑山集)
- 花の鈴なりせりせりな鈴の縄(毛吹草六、廻文之発句)
- 花花は葉な花花は花花葉(紙屋川水車集、第三)
- 若煙草わきよりよきはこばた川(はいかい磯の波)
- 若草の名は知らず見る友どちと戻る身すらし花の咲く川(野遊、廻文歌百首)
- 茎の香ぞ花にし似なば曽我の菊(世話焼草、五)
- 草くきの葉にふる霜に見やるなる闇にも著(しる)う庭の菊咲く(吾吟我集10、廻文歌、秋)
- 草の名は知らず珍し花の咲く
- 草むらに又偶(またたま)に蘭咲く(毛吹草追加下、春日何)
- 草も名はしれじやしれじ花も咲く(秋草花、崑山集)
- 草も餅ついくせのない(ひ)妻も子も待つ雛の節供(せつく)いづち桃咲く(廻文歌百首、上巳)
- 草茎の二度あれあとに野菊咲く(雑体句集)
- 菜かなづな引くを猶食ひ薺哉(鷹筑波、五)
- 菫(すみれ)咲くたま井やいまだくされ水(はした柴)
- 萩の戸か暗い(ひ)にひらく門(かど)の際(崑山集)
- 萩の間や続き咲きつつ山の際(狐の茶袋、三)
- 葉にのきつ枯木はきれか月の庭(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 葉に理屈なは花つくり庭(毛吹草追加下、春日何)
- 葉の筋はしら糸いらじ蓮(はちす)の葉(毛吹草六、廻文之発句)
- 葉の黄なや垂れたしだれた柳の葉(毛吹草追加下、南何)
- 葉の黄なや贋(にせ)かや風に柳の葉(崑山集)
- 薬盛(も)りすぐくすりもり過ぐ(毛吹草追加下、春日何)
- 藪に葉のなびけたる様にぎはひは木にまさる竹雛の埴生(はにふ)や(廻文歌百首)
- 藻をのけい月影かきつ池の面(毛吹草六、廻文之発句)
- 藻をのけい玉藻をもまた池の面(毛吹草追加下、南何)
- 藻を除けい草花はさく池の面(崑山集)
- 虫ぞ音(ね)のしむ虫の音ぞしむ(紙屋川水車集、第四)
- 虫の音しるししるし音のしむ(毛吹草追加下、南何)
- 虫の音憎き聞くに音のしむ(毛吹草追加下、春日何)
- 虱撫(さす)るは春慰(すさみ)らし(世話焼草、五)
- 蚯蚓(みみず)なく音遠くなす耳(廻文俳諧之歌仙)
- 蛙の類か蛙の類か(毛吹草追加下、南何)
- 袈裟を着て羽柴暫(しばし)は敵を避け
- 袴(はかま)や濡らし知らぬ山川(俳諧廻文百韻)
- 見かけさばきて手際さげ髪(毛吹草追加下、春日何)
- 見し程すらも洩(もら)す乏しみ(廻文俳諧之歌仙)
- 見たか句を手際に吐きておく記念(かたみ)(新編柳多留、26)
- 見たか名は梅(むめ)と見とめむ花筺(夢見草、五)
- 見たか名は野な花々の花筺(かたみ)(毛吹草六、廻文之発句)
- 見たか花忠度(ただのり)の只名は形見(崑山集)
- 見つに嚊(かか)聞くにも憎き嚊に罪(芦辺の鶴)
- 見よ暦(こよみ)老(おい)が迎(むかい)を見よこよみ(紙屋川水車集、巻軸)
- 見る文(ふみ)よ黒髪かろくよみ古(ふる)み(紙屋川水車集、第一)
- 見世の木のぬけがらがけぬ軒の蝉(崑山集)
- 見文(みふみ)ふみふみ見文ふみふみ(紙屋川水車集、第三)
- 見聞けただ躍りより戸をたたけ君(紙屋川水車集、第五)
- 見馴れなば群鳥(むらとり)とらむはなれなみ(魚の歌合)
- 言の葉よ父母(ふも)をぞ思ふ夜半の床(紙屋川水車集、第二)
- 訪(と)ひ来寄りたか語りよき人(廻文俳諧之歌仙)
- 詠み送る友とし書きし俳諧歌(か)言わ(は)じ聞かじともどる句を見よ(視聴草、四集二)
- 詩の錦綴りやりつつ錦の詩(錦を一字としての回文、毛吹草追加下、南何)
- 詩をほむな白菊切らじなんぼ惜し(筆を手折詩を作る人の前にて、崑山集)
- 説け法(のり)の功徳もくどく法の化度(紙屋川水車集、第三)
- 誰か爰(ここ)借れた誰か爰借れた(紙屋川水車集、巻二)
- 象の来(き)あゆみ見ゆ秋の憂さ(廻文俳諧之歌仙)
- 貧しきのちは恥ぢのきし妻(俳諧廻文百韻)
- 貧なれば理も苦も曇はれなん日(紙屋川水車集、第二)
- 足る方得(う)ると取る歌がるた(廻文俳諧之歌仙)
- 身の友をかこちし児(ちご)かおもとの実(廻文俳諧之歌仙)
- 身の品はただ只話のみ(毛吹草追加下、南何)
- 身の文武臣下と感じ文武のみ(紙屋川水車集、第九)
- 身やきつさ頭痛もうつつさ月やみ(世話焼草、五)
- 身を楽さのどかに門(かど)のさくらを見(廻文歌百首)
- 身軽な鳴かななかな鳴神(世話焼草、五)
- 躰(てい)も見よ哥(うた)今いたう読みも居て(毛吹草追加下、春日何)
- 輪にのるは馬のこのまん春の場(にわ)(毛吹草六、廻文之発句)
- 連れの気々母の忍ばば木々の列(折句庫)
- 連れは来つ夜ながくかなよ月晴れつ(崑山集)
- 道々見おき露月を道みち見(紙屋川水車集、第二)
- 道理(たうり)まで長閑や門の手鞠歌(峯の嵐)
- 違いなば水泡(みなは)や花見はな筏(毛吹草六、廻文之発句)
- 遠くただ軒端(のきば)を萩のたたく音(入舩狂句合)
- 遠のかじ妻しばし待つ鹿の音(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 遠のかじ逃がす春日の鹿の音(夢見草、五)
- 遠のきし聞かばや羽掻き鴫(しぎ)のおと(崑山集)
- 遠のくか鶯(うぐいす)低う楽の音(毛吹草追加下、廻文之発句)
- 遠のみな稍(やや)寒さ稍波の音(世話焼草、五)
- 遠の鈴虫染(し)む鈴の音(俳諧廻文百韻)
- 遠の音(ね)はのどかな門の羽根の音(をと)(さし柳)
- 選り栗よ柿とる時か選り栗よ(紙屋川水車集、第四)
- 都鄙都鄙(とひとひ)やすややすや人々(紙屋川水車集、巻軸)
- 酢々々々々々々々々々(紙屋川水車集、巻軸)
- 野もくらむ傘借る傘か村雲の(如何)
- 野もせくたぶれ猟(れふ)た曲者(くせもの)(紙屋川水車集、第二)
- 野岸に山ややまやにしき野(紙屋川水車集、第三)
- 鈴のねか立つ鷹立つたかねのすず(鷹)(崑山集)
- 鈴のみが音をし音を神の鈴(毛吹草追加下、南何)
- 鑓(やり)安鑓や鑓やすやりや(紙屋川水車集、第二)
- 長きをし冬しばしゆふ塩木哉(毛吹草六、廻文之発句)
- 長き名やたまのせのまた柳かな(魚の歌合)
- 長き哉野路生(のぢふ)の藤の長き哉(世話焼草、五)
- 長き夜(や)はくだかけかたくはやき哉(世話焼草、五)
- 長き夜ぞ軒端に萩のそよぎ哉
- 長き夜の来つ月のよきかな(廻文俳諧之歌仙)
- 長き夜の狐こそ来(こ)ね月のよきかな
- 長き夜の遠の眠りの皆目ざめ波乗り船の音のよきかな(日本風土記、五、文辞)
- 長き夜の野面(のも)遙かにてそまくらくまそでに刈るは物のよきかな(藤原隆信朝臣集)
- 長き暴風(しけ)菊には憎きけしきかな(如鶴評万句合)
- 長き池清き月よき景気かな(夢見草、五)
- 長き納屋南に南柳かな
- 長き続きの軒つづきかな(廻文俳諧之歌仙)
- 長き葉に伸びる春日の庭木かな
- 長く名は残り有りこの花供かな(高野の花供に古を思ひ出て、崑山集)
- 長ごとをのべる春辺の男かな(廻文俳諧之歌仙・俳諧廻文帖)
- 長し日のいつのひまにかのぼる鶴ほのかに舞のついのびしかな(廻文歌百首)
- 長寝もと鴨買ひ鴨が友寝哉(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 長居する妻は母待つ留守居かな
- 長居する酒飲みの今朝留守居かな(たねふくべ、六)
- 長居ますのどかな門(かど)のすまい哉(かな)(崑山集)
- 長岸に草花は咲く錦かな(夢見草、五)
- 長崎やのどかな門(かど)の焼肴(芭蕉の作との説あり)
- 長座敷今朝過す酒雉子肴(崑山集)
- 長旅もつい遅き春友どちと戻るは木曾をいつも日高な(廻文歌百首)
- 長月を清見にみよき興津哉(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 長火縄もて頭(つぶり)ふっても花火哉(はした柴)
- 長筋は白糸いらじ蓮(はちす)かな(世話焼草、五)
- 長糸も軒な柳のもといかな(崑山集)
- 長縄を張るをも折るは尾花かな(夢見草、五)
- 長菜つみ春うりうるは水菜哉(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 長薺(なづな)のぞみ菜溝の薺かな(菜の字七つ置きて、夢見草、五)
- 長薺引くものも食い(ひ)なずな哉(世話焼草、五)
- 長言(ながごと)をきくに小憎き男かな(磯の波)
- 長門なは軒端も萩の花戸哉(崑山集)
- 閑(しづか)さや若葉に若葉八坂辻(はした柴)
- 間夫(まぶ)と恋ひ能(よ)い間に毎夜日毎不間(ぶま)(芦辺の鶴)
- 闇のみか見よき月よみ神の宮(立圃句集、下)
- 闇のみよ来つ月読の宮(紙屋川水車集、第一)
- 隣まで白歯気晴らし手鞠など(折句紀の玉川、四)
- 雉子(きぎす)とぶ山の端(は)の間(ま)やふと過ぎき(廻文俳諧之歌仙)
- 雪ぞ消ゆただ春はただ雪ぞ消ゆ(残雪、崑山集)
- 雪とくとくととくとくと消ゆ(毛吹草追加下、南何)
- 雪と積みいつからかつい水と消ゆ(磯の波)
- 雪に討ち晴らし義士らは忠(ちう)に消ゆ(柳風狂句合)
- 雪八分崩れ晴れ透(す)く不二(ふぢ)は消ゆ(芦辺の鶴)
- 霜おくなかばはかなくをもし(毛吹草追加下、春日何)
- 霞に見ずよ四隅に御簾(みす)か(毛吹草追加下、春日何)
- 音長閑(のどか)くるか手軽く門(かど)の戸を(雑体句集)
- 須磨凪(なぎ)をよろこぶ頃よ沖鱠(なます)(はした柴)
- 頓(やが)て出しやれ吊れ吊れや仕立蚊帳(崑山集)
- 頭巾着つ寒さや寒さ頭巾着つ(崑山集)
- 頻(しき)りふり来し頻りふり来し(紙屋川水車集、第五)
- 頼みつつ民のたのみ田堤(つつみ)の田(毛吹草追加下、南何)
- 願はくは泉の水井湧くは金(とはず口)
- 風川(かは)西に西には風か(毛吹草追加下、南何)
- 飛び退きつ砧は狸月の人(俳風桜多留、三)
- 飯に噎(む)せ頤(をとがひ)かどを膳にしめ(俳諧廻文百韻)
- 馬子乗るは無体ぞいたむ春の駒(毛吹草六、廻文之発句)
- 駅(むま)悩まむ駅悩まむ(俳諧廻文百韻)
- 高い出洲葭切(よしきり)来しよ捨筏(いかだ)(新編柳多留、13)
- 高やのう(なふ)波寄るよ皆鮒屋形(毛吹草追加下、春日何)
- 高帆尾際(たかほおきわ)の野分大形(世話焼草、五)
- 魚梁(やな)深津春とく取るは束鮒(つかふな)や(紙屋川水車集、第五)
- 鯛なまこいさざに栄螺(さざい)小爼板(まないた)(花もん日)
- 鯛なまこ料(れう)れや料れ小爼板(毛吹草追加下、廻文之発句・紙屋川水車集、第五)
- 鯛生(なま)切れか枯木爼板(まないた)(享保12年信州万句合、廻文歌仙)
- 鳥帰るとも戻るべかりと(廻文俳諧之歌仙)
- 鴫たたば気は沢騒ぎ羽たたきし(紙屋川水車集、第四)
- 鷹野今日(けふ)勢子をばおこせ武家の方(毛吹草追加下、春日何)
- 鷹野今日むら鳥とらんぶけの方(毛吹草六、廻文之発句・崑山集)
- 鹿あよみ来るあれあるく見よあかし(紙屋川水車集、第二)
- 鹿が出た彼方は田中立て案山子(かかし)(毛吹草追加下、春日何)
- 鹿ぞかししか友とかし鹿ぞかし(紙屋川水車集、第三)
- 鹿ぞ棲む田舎気(け)のない息子(むす)ぞかし(磯の波)
- 鹿ぞ聞き知りてぞ照りし木々ざかし(廻文俳諧之歌仙)
- 鹿の角(つの)かし鹿の角(つの)かし(紙屋川水車集、第一)
- 鹿笛の草の穂の咲く野辺探し(新編柳多留、24)
- 鹿追うおかししか追うおかし(紙屋川水車集、第七)
- 鹿除けに小田刈るかたをにげよかし(崑山集)
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