幻想的存在100選:神話と伝説がつむぐ世界へ
目を閉じてみてください。そこには、太陽を司る女神、山の奥で風を起こす天狗、そして時を超えて現れる仙人たちがいます。
ここでは、日本や中国の古典文学・神話に登場する幻想的存在100選を、7つのカテゴリに分けて丁寧に紹介します。
妖怪や霊獣に興味がある人も、古典文学を学びたい人も、ただ不思議な世界に触れてみたいだけの人も――
きっと、この中に「惹かれる何か」が見つかるはずです。
古典文学に登場する幻想的存在 一覧
🌞【神々(かみがみ)】
天地開闢(てんちかいびゃく)から人々の暮らしに寄り添う存在まで、日本や中国の神々は、自然、社会、そして人の心を象徴する存在として数多く語り継がれてきました。天照大神のような高天原の主神から、地方信仰の山の神、水の神まで、それぞれに神聖な役割があります。
- 天照大神(あまてらすおおみかみ)
太陽を司る女神で、日本神話の最高神。天皇家の祖神として伊勢神宮に祀られる。 - 素戔嗚尊(すさのおのみこと)
海や嵐の神。乱暴だが情に厚く、ヤマタノオロチを退治して英雄となる。 - 月読命(つくよみのみこと)
月の神。天照大神の兄弟であり、夜の世界を治めるとされる。 - 大国主命(おおくにぬしのみこと)
国づくりの神。縁結びの神としても信仰され、出雲大社の祭神。 - 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)
天地創造の男神で、死者の国・黄泉の国から逃れた後に神々を生む。 - 伊邪那美命(いざなみのみこと)
伊邪那岐の妻であり、火の神を産んだことで命を落とし、死の世界へと向かう。 - 猿田彦命(さるたひこのみこと)
道を導く神で、天孫降臨の際に道案内を務めた。旅の守り神として信仰される。 - 八幡神(はちまんしん)
武運の神として武士から広く信仰された神。応神天皇が神格化された存在。 - 建御雷神(たけみかづちのかみ)
雷と剣を司る戦いの神。鹿島神宮の主祭神であり、国譲りの交渉に登場。 - 少彦名命(すくなひこなのみこと)
小柄な神で医薬や酒造の神。大国主命とともに国づくりを助けた。 - 豊受大神(とようけのおおかみ)
食物・穀物を司る神。天照大神に供物を捧げるため伊勢外宮に祀られる。 - 高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
天地開闢の初期に現れた造化の神。高天原の支配者的存在の一柱。 - 神産巣日神(かみむすびのかみ)
高御産巣日神と対をなす神で、生命の誕生や成長を助ける力をもつ。 - 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
水と芸能の女神で、宗像三女神のひとり。弁才天と同一視されることも。 - 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
最初に現れた天地創造の神のひとり。宇宙の中心を司る、抽象的な存在。
👹【妖怪・物の怪(ようかい・もののけ)】
不可思議な現象や人々の恐れを象った存在たち。闇に潜み、時に災いをもたらす妖怪たちは、人間の心や社会の影を映し出す鏡のようなものです。恐ろしさの中にユーモアや哀愁を宿すことも多く、日本の伝承文化の豊かな部分を担っています。
- 鬼(おに)
人を喰らい、災いをもたらす恐ろしい存在。『今昔物語集』や『源氏物語』などにもしばしば登場。 - 天狗(てんぐ)
山に住む超人的な力を持つ存在。僧を惑わせることもあるが、修験者と重なる神聖性も帯びる。 - 一反木綿(いったんもめん)
布のような姿で空を飛び、人に巻きついて窒息させるという南方系の妖怪。 - ぬらりひょん
人の家に上がり込んで家人のように振る舞う妖怪。妖怪の総大将とされることも。 - 河童(かっぱ)
川に住む水の妖怪。人を水に引きずり込むが、礼儀正しく、相撲好きな一面も。 - 雪女(ゆきおんな)
雪の中に現れる美しい女の妖怪。人を凍らせたり、恋に落ちたりと多面的に描かれる。 - ろくろ首(ろくろくび)
夜になると首がのびる女性の妖怪。人間の姿に化けて暮らすことも。 - 小豆洗い(あずきあらい)
小川のそばで「あずきとごうか、人とって喰おうか」とささやく不気味な存在。 - 塗壁(ぬりかべ)
夜道で突然現れ、人の進行を邪魔する見えない壁のような妖怪。 - 傘お化け(からかさおばけ)
古びた道具が化けた「付喪神(つくもがみ)」の一種。片足で跳ね、舌を出して笑う。 - 姑獲鳥(うぶめ)
死んだ母の霊が妖怪化したもの。子を抱いて現れ、人に子を預けようとする。 - 火車(かしゃ)
罪人の亡骸を奪う妖怪。地獄から来た猫またとも言われる。 - 百目(ひゃくめ)
体中に目がある妖怪。すべてのものを見通す力を持つとされる。 - 土蜘蛛(つちぐも)
大地に潜む巨大な蜘蛛の妖怪。『平家物語』にも登場し、武士との戦いが語られる。 - 枕返し(まくらがえし)
寝ている人の枕をひっくり返して悪夢を見せる、悪戯好きな妖怪。
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