正月が近づくと、街の雰囲気や食卓の彩り、家に飾られるもののひとつひとつに“新しい一年を迎える特別な気配”が漂います。
初詣やおせち料理、年賀状、正月飾りなどの習わしには、長い時間をかけて受け継がれてきた願いや祈りが静かに息づいています。
ここでは、日本のお正月を象徴する行事や風物詩を、意味や背景とともにやわらかく紹介します。
いつもの風景のなかにある「お正月らしさ」に触れることで、新しい一年を迎える気持ちがそっと整っていきます。
正月の風物詩・伝統行事一覧
正月の行事・イベント|一年の始まりを祝う定番の催し
日本のお正月には、新年を迎える喜びや一年の無事を願うための行事が数多くあります。家族で寺社へ参拝したり、テレビ番組を見てゆっくり過ごしたりと、静かな時間から賑やかな催しまでさまざま。地域や家庭によって過ごし方は少し違いますが、「気持ちを新たにする」という思いは共通しています。
- 初詣(はつもうで)
新年に初めて神社やお寺を参拝し、1年の健康や幸運、家内安全などを祈る行事。 - 除夜の鐘(じょやのかね)
大晦日の夜から元日にかけて、お寺で鐘をつく行事。108回の鐘の音で煩悩を祓うとされる。 - 初日の出
元日の朝に昇る太陽を拝むこと。一年の始まりに願いごとや目標を胸に刻む習慣として親しまれている。 - 年越しカウントダウンイベント
大晦日の夜に、テーマパークや商業施設などで行われるカウントダウンイベント。花火やライブとともに新年を迎える。 - 紅白歌合戦
大晦日の夜に放送される音楽番組。家族で観ながら年越しをする、テレビの定番行事。 - 初売り
デパートやショッピングモールなどで行われる新年最初のセール。バーゲンや限定商品を目当てに多くの人が訪れる。 - 福袋(ふくぶくろ)
中身は見えない状態で販売されるお得な袋。何が入っているか開けるまでのドキドキも含めて、正月の楽しみのひとつ。 - 七福神めぐり
七福神を祀る寺社を巡拝し、一年の福とご利益を願う行事。専用の色紙や御朱印帳を集める人も多い。 - どんど焼き・左義長(さぎちょう)
正月飾りや書き初めなどを一か所に集めて焼く行事。炎にあたることで無病息災を祈る地域もある。 - 鏡開き(かがみびらき)
神さまにお供えしていた鏡餅を割って食べる行事。お雑煮やおしるこにして、家族の健康を願う。 - 帰省(きせい)
年末年始に実家やふるさとへ帰り、家族や親戚と過ごすこと。久しぶりの団らんも正月の楽しみのひとつ。 - 年末の大掃除
新年を気持ちよく迎えるために、家中を徹底的に掃除する習慣。古い一年の汚れや厄を落とす意味も込められている。 - 箱根駅伝
正月の風物詩として定着した大学駅伝競走。テレビ中継を観ながらお正月を過ごす家庭も多い。 - ニューイヤー駅伝
元日に行われる実業団駅伝。おせちを食べながら、駅伝中継を見るのもお正月らしい過ごし方のひとつ。 - 小正月(こしょうがつ)
1月15日前後に行われる行事の総称。地域によってはどんど焼きや豊作祈願などがこの時期に行われる。 - 初荷(はつに):年の始めに企業が最初に出荷する貨物のこと。トラックに「初荷」の旗を掲げて走る光景は、新年らしい仕事始めの象徴となっている。
- 書き初め(かきぞめ):1月2日ごろに行われる新年最初の書道。抱負やおめでたい言葉を書にしたためる習慣で、学校行事としても広く親しまれている。
- 初笑い(はつわらい):新しい年の最初に笑うことを縁起が良いとする文化。寄席や漫才番組を楽しみながら、一年の始まりを明るく迎える習慣として根付いている。
- 新年一般参賀(1月2日):皇居で行われる年始の行事で、多くの人が訪れ、天皇陛下のお言葉を拝聴する。毎年ニュースでも取り上げられる、新年を代表する公式行事のひとつ。
- 初釜(はつがま):茶道で新年最初に開かれる茶会。道具を清め、新しい一年の無事を祈りながら茶を点てる、茶道にとって大切な行事。
- 正月三が日(しょうがつさんがにち):1月1日から3日までを指し、多くの家庭がのんびり過ごす時期。店や公共機関が休みになることも多く、日本の正月らしいゆったりした空気が広がる。
- 仕事始め・稼ぎ初め:新年最初の出勤日や仕事開始を指す言葉。企業では挨拶回りや朝礼が行われるなど、一年のスタートを整える大切な日となっている。
- 初荷式(企業の儀式):商売繁盛を願って、新年最初の貨物を送り出す式典。企業の敷地でトラックを前に行われることが多く、新年の仕事運を担ぐ行事とされる。
- 年始参り(ビジネス文化):取引先や関係先へ新年の挨拶に伺う習慣。名刺や手土産を持参し、一年の良好な関係を願って互いに言葉を交わす、実社会で根付いた年初の風景。

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