縁起物は、厄除け、金運、健康、良縁――言葉にしにくい願いを、形としてそばに置くための工夫でもあります。招き猫やお守りのように身近なものもあれば、松竹梅や青海波のように模様として暮らしに溶け込むものもあります。けれど、意味や由来を知らないまま手にしていることも多いはずです。ここでは、縁起物一覧として124項目を集め、背景にある考え方まで紹介します。気分を整えたい日にも、節目を迎える時期にも、必要なところから読めます。
縁起のいいもの一覧
清め・区切り・祓いの縁起
神聖と日常を分け、清らかな状態を保つためのしるし。音・結界・祈りの道具を通して、心身を整える役割を担ってきました。
- しめ縄 — しめなわ
神聖な領域を示す結界として用いられる縄。不浄を寄せつけない境をつくり、清らかな場を保つ意味が込められます。 - 紙垂 — しで
しめ縄などに下げる白い紙。白の清浄さで神聖性を表し、場を整えるしるしとして扱われます。 - 破魔矢 — はまや
正月に授与されることの多い魔除けの矢。邪気や災厄を払う象徴として、一年の守りにします。 - 鈴 — すず
澄んだ音で場を清めるとされ、神事やお守りに用いられてきました。音に気持ちを切り替える力を託す例も多い存在です。 - 獅子舞 — ししまい
獅子が邪気を食べるとされ、無病息災を願う民俗芸能。正月や祝いの席で家々を巡る地域もあります。 - お神札(神札)— おふだ(しんさつ)
神社で受け、神棚などに祀る札。新年にあらためて受け、家内安全や厄除けを願う習慣が根づいています。 - 護符 — ごふ
災厄除けや願掛けのために授けられる札。身近に納めて、守りの象徴として大切にします。 - お守り — おまもり
神仏の加護を身近に受けるための守り札。携えることで、願いを思い出し心を落ち着かせる支えにもなります。
幸運をもたらす神仏と信仰の存在
福・財・健康・成功をもたらす存在として語られてきた神仏や象徴。正月の習俗と結びつき、年の始まりに意識されやすい存在です。
- 歳神(年神) — としがみ
正月に迎える神とされ、一年の福徳や五穀豊穣をもたらす存在として語られます。門松や鏡餅の意味とも深く結びつきます。 - 七福神 — しちふくじん
恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七柱からなる福の神。暮らしの幸福を象徴します。 - 恵比寿 — えびす
商売繁盛や大漁を司る神。笑顔の姿で親しまれ、福を呼ぶ存在として正月の縁起とも結びつきます。 - 大黒天 — だいこくてん
五穀豊穣と財福の神。米俵や小槌を持つ姿で知られ、家の豊かさを願う信仰とつながります。 - 弁財天 — べんざいてん
芸事・学問・知恵・財運に縁の深い女神。水や音楽とも結びつく存在として語られます。 - 毘沙門天 — びしゃもんてん
武運や勝負運を司る神。困難に立ち向かう力の象徴として信仰されます。 - 福禄寿 — ふくろくじゅ
幸福・財・長寿の三徳を備える神。穏やかな老神の姿で描かれ、家庭の安泰を願う象徴となります。 - 寿老人 — じゅろうじん
健康と長寿を司る神。鹿を従えた姿が特徴で、静かな長命の象徴として語られます。 - 布袋 — ほてい
大きな袋を持つ福の神。寛容さや人徳の象徴とされ、朗らかな福のイメージで親しまれます。 - 稲荷神 — いなりがみ
五穀豊穣や商売繁盛を司る神。狐は使いとされ、暮らしの実りと守りに結びつきます。 - 不動明王 — ふどうみょうおう
強い守護の力を持つ明王。災厄除けや困難克服の象徴として信仰されます。 - 宝船 — たからぶね
七福神が乗る船として描かれる縁起物。初夢に見るとよいとされ、福の到来を象徴します。 - 歳徳神 — としとくじん
年の福徳や吉方と関わる神として語られる存在。恵方の考え方と結びつくことがあります。 - 恵方 — えほう
歳徳神のいる方角とされる吉方。節目の行いを吉方に合わせる風習につながります。
健やかに続くことを願う象徴
病なく過ごし、穏やかに年を重ねることへの願いを映す縁起。言葉そのものや、自然の姿に意味を託す例が多く見られます。
- 無病息災 — むびょうそくさい
病なく日々を過ごすことを願う言葉。多くの縁起や祈りの根にある考え方です。 - 鶴亀 — つるかめ
鶴と亀を組み合わせ、長寿と祝意を強く表す吉例。祝いの意匠としても定番です。 - 瓢箪 — ひょうたん
実が多く成ることから繁栄の象徴とされます。六つそろえる「六瓢(むびょう)」に無病息災を掛ける解釈もあります。 - 薬玉 — くすだま
香草や薬草を詰め、邪気を祓う行事具として知られる存在。健康を願う心を形にしたものです。 - 南天 — なんてん
「難を転じる」に通じる語呂で、厄除けと健康の願いに結びつく木。赤い実も縁起のよさを感じさせます。

コメント