仏教・密教に根ざした思想的な言葉
仏教の言葉は、生と死、苦しみや悟りといった人の根源的な問いに向き合う中で形づくられてきました。無常や空、涅槃のような語は、世界の成り立ちを静かに見つめ直す視点を与えてくれます。内面を深く掘り下げる思想的な表現を紹介します。
- 無常(むじょう)
すべての存在は常に変化し、永遠に同一ではないという仏教の根本思想。 - 空(くう)
あらゆるものに固定的な実体はないとする概念(縁起によって成り立つ存在観)。 - 縁起(えんぎ)
すべての事象は因と縁によって生起するという仏教的世界観。 - 因果(いんが)
行為(因)が結果(果)を生むという法則(因果応報)。 - 輪廻(りんね)
生死を繰り返す存在の循環(六道輪廻など)。 - 解脱(げだつ)
煩悩や輪廻から解き放たれた状態。 - 涅槃(ねはん)
迷いと苦しみが完全に消滅した究極の境地。 - 悟り(さとり)
真理を体得し、迷妄を超えた認識状態。 - 煩悩(ぼんのう)
心を乱し、苦を生む欲望や執着。 - 三毒(さんどく)
貪(むさぼり)・瞋(いかり)・痴(おろかさ)という根本的煩悩。 - 彼岸(ひがん)
悟りの世界。煩悩に満ちた此岸に対する概念。 - 此岸(しがん)
迷いと苦しみのある現世。 - 三界(さんがい)
欲界・色界・無色界からなる迷いの世界。 - 六道(ろくどう)
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六つの生存領域。 - 功徳(くどく)
善行や修行によって積まれる霊的な価値。 - 菩提(ぼだい)
悟りそのもの、または悟りへ向かう智慧。 - 菩薩(ぼさつ)
自他の救済を誓い、悟りを求め続ける存在。 - 如来(にょらい)
真理に到達した仏の尊称(釈迦如来など)。 - 密教(みっきょう)
真言・印契・曼荼羅を用いて悟りを目指す仏教の一系統。 - 真言(しんごん)
仏の真理を音声として表した呪句(サンスクリット由来)。 - 印契(いんげい)
手指の形によって仏の働きを象徴的に表す作法。 - 曼荼羅(まんだら)
宇宙や悟りの構造を図像化した密教的世界観。 - 三昧(ざんまい)
心が一境に集中した深い瞑想状態。 - 瞑想(めいそう)
心を静め、自己と真理を観察する修行法。 - 坐禅(ざぜん)
姿勢を正し、呼吸と心を整える禅宗の基本修行。 - 法(ほう)
仏が説いた真理・教え(ダルマ)。 - 経(きょう)
仏の教えを記した聖典。 - 供養(くよう)
仏・僧・死者に対して行う敬いと祈りの行為。 - 回向(えこう)
自らの功徳を他者や衆生に振り向ける行為。 - 護摩(ごま)
火を用いて煩悩を焼き尽くす密教の修法。 - 声聞(しょうもん)
仏の教えを聞いて悟りに至る修行者を指す語。 - 縁覚(えんがく)
他者の教えによらず、縁起を観じて自ら悟る者(独覚)。 - 三身(さんじん)
仏の在り方を法身・報身・応身の三つに分けて説く教義。 - 法身(ほっしん)
真理そのものとしての仏の身(色や形を超えた側面)。 - 報身(ほうじん)
修行の功徳の報いとして成就した仏身。 - 応身(おうじん)
衆生を救うために、この世に姿を現す仏身。 - 阿頼耶識(あらやしき)
経験や業の種子を蔵するとされる深層の識(唯識思想)。 - 即身成仏(そくしんじょうぶつ)
この身のままで悟りに至るという密教の中心的な考え方。
修験道・山岳信仰にまつわる言葉
山を異界と捉える修験道の言葉には、境界を越える感覚や厳しい修行の気配が色濃く残ります。行者や峰入りといった語は、人が自然の中で己を試してきた歴史を伝えています。神仏と人が交わる場所としての山に由来する表現を取り上げます。
- 修験道(しゅげんどう)
山岳を霊場として修行し、験力の体得を目指す日本固有の宗教的実践体系。 - 修験(しゅげん)
厳しい行を通して霊的な力や悟りを得ようとする修行そのもの。 - 行者(ぎょうじゃ)
山岳修行や苦行を積み、霊験を体得した修行者。 - 山伏(やまぶし)
修験道の実践者。山に伏して修行することから名付けられた。 - 験(げん)
修行の成果として現れる霊的効験・不思議な力。 - 霊山(れいざん)
神仏が宿ると信じられ、修行の場とされる山。 - 霊場(れいじょう)
修行や巡礼の対象となる聖なる場所。 - 峰入り(みねいり)
山中を巡りながら行う修験道の重要な修行。 - 結界(けっかい)
聖と俗、内と外を分けるために設けられる霊的境界。 - 異界(いかい)
人の世とは異なる次元・霊的世界。 - 神仏習合(しんぶつしゅうごう)
神道と仏教が融合し、共に信仰・実践された日本独自の宗教観。 - 権現(ごんげん)
仏が人々を救うために神の姿で現れたとする考え方。 - 呪法(じゅほう)
真言や所作を用いて霊的作用を起こす修法。 - 法螺貝(ほらがい)
山伏が合図や浄化のために吹く貝製の楽器。 - 入峰(にゅうぶ)
修行のために山へ入ること(峰入りの開始)。 - 苦行(くぎょう)
肉体的・精神的苦しさを伴う修行。 - 垢離(こり)
冷水などで身を清め、心身を鍛える修行法。 - 加持(かじ)
仏や神の力を身に受けること、またはその作法。 - 霊験(れいげん)
祈願や修行の結果として現れる不思議な効き目。 - 行場(ぎょうば)
修行を行うために定められた特定の場所。 - 山中他界(さんちゅうたかい)
山の奥に死者や神霊の世界があるとする観念。 - 常世(とこよ)
現世とは異なる永遠性を持つ他界・霊界。 - 境界(きょうかい)
此岸と彼岸、俗界と聖域を分ける概念的・物理的な線。 - 験力(げんりき)
修行によって身につくとされる霊的能力。 - 山宮(やまみや)
山中に設けられた神仏の祭祀地点。 - 奥宮(おくみや)
霊山の最奥に位置する、特に神聖とされる社。 - 霊威(れいい)
神仏や霊的存在がもつ畏敬すべき力。 - 参籠(さんろう)
霊場に一定期間こもり、祈りや修行を行うこと。 - 験者(げんじゃ)
霊験を顕したとされ、信仰を集めた修行者。 - 行法(ぎょうほう)
修験における具体的な修行・作法の総称。 - 宿坊(しゅくぼう)
霊場・寺社に付随し、参拝者や修行者が滞在する施設。 - 霊地(れいち)
神仏の力が及ぶと信じられ、特別視される土地。

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