5. 月の神話や伝説に由来する言葉
月は古来から神格化され、多くの伝説や信仰と結びついてきました。月読(つくよみ)、嫦娥(じょうが)、姮娥(こうが)、桂の樹に棲む兎など、神話や伝説に登場する名称が残されています。これらの呼称は月を神秘的にとらえ、文化的背景を色濃く反映しています。
- 月読命(つくよみのみこと)
日本神話に登場する月の神。天照大神の弟とされ、夜や月を司る。 - 月神(げっしん/つきがみ)
月そのものを神格化した呼称。月読命や陰陽思想に由来する表現。 - 玉兎(ぎょくと)
中国の伝説で月に住むとされる兎。杵で不老不死の薬を搗くと伝えられる。 - 蟾蜍(せんじょ/ひきがえる)
月に棲むとされた蛙のこと。中国の神話由来で月の異名ともなる。 - 桂月(けいげつ)
中国伝承で、月には大きな桂の木があるとされたことにちなむ月の呼称。 - 嫦娥(じょうが)
中国神話に登場する月の女神。仙薬を飲んで月に昇ったとされる。 - 素娥(そが)
嫦娥の別名。月の女神を指す中国由来の雅語。 - 広寒宮(こうかんきゅう)
月にあるとされた宮殿。嫦娥が住むとされた伝承に基づく。 - 蟾宮(せんきゅう)
月の異名。蟾蜍の棲む宮殿という伝承から生まれた表現。 - 月兎(げっと)
日本で定着した「月に兎がいる」という俗信を表す言葉。餅つき兎として親しまれる。 - 月の桂(つきのかつら)
月に茂る桂の木を指す表現。中国神話由来で、日本の和歌にも取り入れられた。 - 月宮殿(げっきゅうでん)
月を宮殿に見立てた表現。雅な異称として用いられる。 - 月天子(がってんし)
仏教で月を神格化した表現。 - 月の宮(つきのみや)
月にあるとされる宮殿や月を異称する言葉。 - 月読尊(つくよみのみこと)
月読命の別称。 - 太陰君(たいいんくん)
陰陽思想で月を人格化した呼称。 - 月精(げっせい)
月の精霊や女神を指す詩的な語。
6. 月の光や見え方を表す言葉
月影、月明かり、朧月、月暈(つきがさ)、霽月(せいげつ)などは、月が放つ光や大気との関わり方に由来する呼称です。視覚的な印象を表すこれらの言葉は、俳句や和歌で好んで用いられ、自然の描写に深みを与えます。
- 月光(げっこう)
月の光。古来より詩歌や物語で幻想的な象徴とされる。 - 月影(つきかげ)
月の光や月の姿そのものを指す。和歌で多用される美しい表現。 - 月明かり(つきあかり)
月の照らす明かり。現代でも日常的に使われる柔らかな表現。 - 月華(げっか)
月の放つ華やかな光。漢詩や雅語的な響きを持つ。 - 月輝(げっき)
月の輝き。光の美しさを強調する雅語的な表現。 - 月輪(がちりん/げつりん)
光り輝く丸い月。仏教用語でも「悟りの象徴」として用いられる。 - 光月(こうげつ)
輝く月。明るさを特に強調した文語的な表現。 - 月天(がってん)
天に輝く月。仏教や漢詩の表現で見られる。 - 有明の月(ありあけのつき)
夜明けになっても残る月。淡い光が朝空に漂う情景を表す。 - 残月(ざんげつ)
夜明けに残る月。朝の光に溶けていくさまを表現する。 - 朧月(おぼろづき)
春の夜、霞や靄に包まれてぼんやりと見える月。俳句では春の季語。 - 薄月(はくげつ/うすづき)
霞や雲に遮られて淡く見える月。幽玄な雰囲気を帯びる。 - 淡月(たんげつ)
淡い光を放つ月。儚げな情景を描写する際に用いられる。 - 月暈(つきがさ)
月の周囲に光の輪がかかる気象現象。 - 氷輪(ひょうりん)
冬の寒空に輝く月光の輪。 - 光環(こうかん)
月光や太陽光が雲や氷晶により見える光の環。
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