3. 月見と行事に関わる言葉
十五夜、十三夜、芋名月、栗名月、豆名月など、行事や祭りに由来する月の呼称です。特に秋の名月は豊作祈願や月見の風習と結びついてきました。また「待宵」「立待月」「寝待月」など、月を待つ時間に由来する呼称もあり、古人の生活と暦の結びつきを感じさせます。
- 十五夜(じゅうごや)
旧暦15日の夜に見える月。中秋の名月として月見行事の中心となる。
※ 1. 月の形や満ち欠けを表す言葉にも掲載 - 十三夜(じゅうさんや)
旧暦13日の夜の月。十五夜に次ぐ名月とされ、秋のもう一つの月見行事。
※ 1. 月の形や満ち欠けを表す言葉にも掲載 - 待宵(まつよい)
十五夜を待つ前夜(14日夜)の月。小望月を眺める夜のこと。 - 立待月(たちまちづき)
旧暦17日の月。日暮れ後にすぐ昇るので「立って待つ間に出る月」の意。 - 居待月(いまちづき)
旧暦18日の月。出が遅いため、座って待つほどの時間があることから名付けられた。 - 寝待月(ねまちづき)
旧暦19日の月。さらに出が遅く、寝ながら待つほどであることからの呼称。 - 臥待月(ふしまちづき)
旧暦20日頃の月。寝床に臥して待つほど遅く昇る月をいう。 - 芋名月(いもめいげつ)
中秋の名月(十五夜)の別名。収穫した芋を供えて月見をする習慣から。 - 栗名月(くりめいげつ)
十三夜の月の別称。収穫した栗を供える風習による。 - 豆名月(まめめいげつ)
十三夜を指す別名。豆を供える習慣から。 - 名月(めいげつ)
美しい月を指す言葉。特に十五夜の中秋の名月をさすことが多い。 - 良夜(りょうや)
月見にふさわしい美しい夜。十五夜や十三夜を称える言葉。 - 良宵(りょうしょう)
月が美しく輝く宵のこと。名月の夜を指す雅な表現。 - 二十六夜待ち(にじゅうろくやまち)
旧暦26日に月を待ち、信仰した行事。 - 後の月(のちのつき)
十三夜の月を指す別称。 - 片月見(かたつきみ)
十五夜だけ見て十三夜を見ないこと。忌み言葉として伝わる。 - 月待ち(つきまち)
一定の日の月を待ち、信仰や行事を行うこと。
4. 文学的・雅語的な月の呼称
漢詩や古典文学に由来する、やや雅な言い回しの月名です。亮月、佳月、円月、幻月、蘿月など、日常では耳にしない語も多く含まれます。これらは文人たちが詩情を高めるために用いた表現であり、文学や書画に独特の風趣を添えています。
- 皓月(こうげつ)
明るく澄んだ満月。清らかな光をたたえた月を形容する雅語。 - 明月(めいげつ)
明るく美しい月。中秋の名月を指す場合が多く、漢詩や和歌に頻出。 - 白月(はくげつ)
白く輝く月。澄んだ光を放つ月を漢詩風に表現した語。 - 素月(そげつ)
飾り気のない清らかな月。質素で清浄な印象を与える。 - 清月(せいげつ)
澄みきった光を放つ月。心を清める象徴的な表現として用いられる。 - 霽月(せいげつ)
雨上がりの空に輝く月。清々しい気配を帯びる。 - 晧月(こうげつ/ごうげつ)
明るく澄んだ月。特に白く冴えた輝きを表現する雅語。 - 佳月(かげつ)
すぐれた、美しい月。文人が称賛を込めて用いた語。 - 亮月(りょうげつ)
輝きの明るい月。澄んで冴えた月の光を強調する雅な呼称。 - 円月(えんげつ)
円満に満ちた月。満月をやや文語的に表現した語。 - 麗月(れいげつ)
麗しく美しい月。女性的な優美さを帯びた表現。 - 華月(かげつ)
花のように美しい月。詩的・華やかな印象を与える表現。 - 花月(かげつ)
花と並んで称えられる月。文学や芸術の題材に多い。 - 蘿月(らげつ)
蔦(つた)や草にかかる月光を指す雅語。幽玄な趣を帯びる。 - 幻月(げんげつ)
気象現象で見える幻の月。転じて幻想的な月を詠んだ語。 - 玉輪(ぎょくりん)
宝玉の輪のように光る月。
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