月に関する言葉は、古来より人々の心を映し、四季の移ろいや祈りの対象として大切にされてきました。
「十五夜」「朧月」「寒月」といった異名から、「玉兎」「桂月」のような神話に由来する呼び名まで、月の表現は実に豊かです。
ここでは、月に関連する言葉を7つのカテゴリに分けてわかりやすく紹介します。
教育や日本文化への理解を深めたい方、名月鑑賞を楽しみたい方、心を癒す言葉を探している方にもおすすめの内容です。
月の言葉を知ることで、日々の暮らしや文章表現に美しい彩りを加えてみませんか?
月を表す美しい言葉 一覧
1. 月の形や満ち欠けを表す言葉
月の呼び名の中でも最も多いのが、三日月や半月、満月といった月の形に基づくものです。古代から月は暦を知る手がかりであり、その満ち欠けごとに細やかな呼称が付けられてきました。三日月、上弦の月、下弦の月、望月などの言葉は、日常的な観察から生まれ、和歌や俳句にも多く詠まれています。
- 朏(みかづき)
新月から三日目に出る細い弓のような月。物語や詩歌にもしばしば登場する。 - 上弦の月(じょうげんのつき)
月齢7〜8頃、右半分が光っている半月。夕方に南の空に見える。 - 下弦の月(かげんのつき)
月齢22頃、左半分が光っている半月。明け方に東の空に見える。 - 上り月(のぼりづき)
昇りはじめの月。特に夕方、東の空に姿を現す月をいう。 - 下の弓張り(しものゆみはり)
下弦の月の別称。弓を張ったような形で下弦の頃に見える。 - 弓張月(ゆみはりづき)
弓を張ったように見える月。特に上弦・下弦の頃をさす。 - 半月(はんげつ)
ちょうど半分が光る月。上弦・下弦いずれの半月も含む一般的表現。 - 半ばの月(なかばのつき)
半分ほどの形に見える月。半月をやや文学的に表現した言葉。 - 望月(もちづき)
旧暦十五日の夜に見える満月。最も丸く満ちた月。 - 満月(まんげつ)
月が完全に丸く輝く状態。望月と同義で、現代でも一般的に用いられる。 - 小望月(こもちづき)
望月の前夜(十四日夜)の月。満月に近い丸さを持つ。 - 既望(きぼう)
満月を過ぎたばかりの月。まだ丸さが残る時期をいう。 - 幾望(きぼう)
満月に近づいた月。望月を待ち望む意味を含む。 - 初月(しょげつ/はつづき)
新月直後に出る細い月。始まりを象徴する表現。 - 初魄(しょはく)
新月後に初めて現れる、ほんのわずかに光る月。 - 十六夜(いざよい)
旧暦16日の月。満月からやや遅れて昇るため「いざよう月」と呼ばれる。 - 十七夜(じゅうしちや)
旧暦17日の夜の月。十六夜の翌日に出る月を指す。 - 十三夜(じゅうさんや)
旧暦13日の月。十五夜に次ぐ名月とされ、特に秋の行事で重んじられる。 - 十五夜(じゅうごや)
旧暦15日の月。中秋の名月を表し、月見の代表的な呼称。 - 二十日月(はつかづき)
旧暦20日の夜に見える月。半月に近い形。 - 繊月(せんげつ)
糸のように細い月。三日月よりさらに細い。 - 初月夜(しょづくよ/はつづくよ)
初めて月が出る夜。新月後の最初の月夜。 - 下弦残月(かげんざんげつ)
夜明けに残る下弦の月。 - 二十六夜月(にじゅうろくやづき)
旧暦26日の夜に出る月。信仰行事にも関わる。
2. 季節を映す月の言葉
春月や秋月、寒月、涼月など、四季の移ろいを映した月の呼称も数多く存在します。古来、日本人は月を眺めながら季節の変化を感じ取り、詩歌に詠み込みました。こうした言葉は季節感を伴う情緒表現として文学や歳時記に欠かせない存在です。
- 春月(しゅんげつ)
春の夜空に浮かぶ月。やわらかな光が春の気配を感じさせる。 - 夏の月(なつのつき)
夏に見える月。夜空が澄み、明るく清涼感のある月の姿を表す。 - 秋月(しゅうげつ)
秋の月。とりわけ中秋の名月を指し、俳句や和歌で多く詠まれる。 - 冬月(ふゆづき)
冬の空に浮かぶ月。寒さを連想させ、澄んだ光を放つ。 - 寒月(かんげつ)
寒さの厳しい季節に見える月。冬の冷たい空気に際立つ明るさを表現。 - 涼月(りょうげつ)
涼しさを感じる夜に出る月。夏の終わりや秋口にふさわしい表現。 - 花月夜(はなづくよ)
桜の咲く春の夜に浮かぶ月
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