中国には数千年にわたって受け継がれてきた壮大な神話体系と、それに連なる妖怪や霊獣の物語が存在します。
こおでは、四神や龍生九子といった神聖な霊獣、疫病や災害をもたらす病魔、異形の人種や神仙などを紹介します。
「なぜこの妖怪は今も語り継がれるのか?」
続きを読めば、中国神話と妖怪文化の奥深さに、きっと新たな視点が見えてくるはずです。
中国の妖怪一覧
- 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』中国の妖怪一覧
1. 神話に登場する神々・創世の存在とは?
中国の妖怪文化の基盤には、天地創造に関わる神々や伝説の帝王たちが存在します。彼らは自然現象や文明の起源を象徴する存在として神話に語られ、妖怪や霊獣の体系の中核をなしています。たとえば、天地を切り開いたとされる「盤古(ばんこ)」や、農業と薬草を人々に授けた「神農(しんのう)」などが代表的です。これらの神々の物語は、中国文化における宇宙観や人間観を深く理解する鍵となります。
1. 盤古(ばんこ)
天地を分けたとされる創世神。宇宙の混沌を斧で切り開き、天と地を形成したという神話の中核に位置する存在です。
2. 伏羲(ふっき)
八卦を発明し、人類に婚姻制度や狩猟・漁撈の知識を授けたとされる古代神王。太昊とも称される文化神の代表格です。
3. 女媧(じょか)
人間を創り、天地の裂け目を補修したとされる女神。伏羲と対をなす存在で、慈愛と再生の象徴として崇敬されます。
4. 神農(しんのう)
薬草を自ら試して分類し、農耕の術を広めたとされる農業と医薬の神。炎帝としても知られ、民間信仰でも広く祀られています。
5. 炎帝(えんてい)
神農と同一視されることが多い火の神格。黄帝との戦いで有名で、中国神話における部族抗争の物語に登場します。
6. 黄帝(こうてい)
五帝の筆頭とされる伝説上の帝王。多くの知恵と法を人々に授け、武勇と統治の理想像とされる英雄的存在です。
7. 蚩尤(しゆう)
金属と戦の神とされる異民族の英雄で、黄帝と戦った反逆者として記されることが多い。後世には軍神として祀られることもあります。
8. 共工(きょうこう)
洪水を引き起こした水神として知られ、天柱「不周山」に突撃したことで天が傾いたという大災厄の神話に登場します。
9. 夸父(こほ)
太陽を追いかけ、渇きで死んだ巨人の神話が伝わる存在。強大な力と不屈の精神の象徴として、古代の詩や物語に語られます。
10. 刑天(けいてん)
首を斬られながらも戦いを続けた神。共工の従者として天帝に反逆したとされ、斧と盾を振るう姿で描かれる勇敢な巨人です。
11. 太昊(たいこう)
伏羲の別名または尊称とされ、東方を司る天帝。陰陽・暦・礼楽の基盤を築いた神聖なる治世者とされています。
12. 少昊(しょうこう)
太昊の子、あるいは後継とされる存在。鳥を神使とし、古代の宗教儀礼や官制に関連する文化的象徴を担います。
13. 顓頊(せんぎょく)
黄帝の孫とされる天帝。天命や礼制の維持に貢献したとされ、陰陽調和の秩序を代表する神王です。
2. 中国の妖怪とは何か?日常に潜む霊的存在の意味と特徴
「妖怪」とは単なる怪物ではなく、人間の暮らしや精神に深く関わる霊的な存在です。中国では古代から「怪異」は自然現象や社会不安、病などの兆しとして恐れられ、同時に敬われてきました。「壁神」「花魄」など、人間の感情や死への恐れが具現化した妖怪は、地域信仰や道教、仏教の影響を色濃く反映しています。
1. 壁神(かべがみ)
古びた壁に宿るとされる精霊で、人に憑依して病を引き起こすとされる。家屋の老朽や穢れを象徴する存在。
2. 渓嚢(けいのう)
子供の姿をした妖怪で、人の袖を引いて命を奪うと伝えられる。袖を引き返せば逆に退治できるという民間伝承がある。
3. 酒虫(しゅちゅう)
古い酒器や甕に宿る精霊で、過度な飲酒の戒めとして語られる。酔いによる錯乱や中毒の象徴ともされる。
4. 酒甕(さけがめ)
大酒飲みの男に化けた妖怪で、その正体は古い酒甕とされる。物に宿る精の一例で、道教的な精物信仰にも通じる。
5. 花魄(かはく)
木の精霊の一種で、自殺者の無念が凝って生まれたとされる。怨念と植物の再生力が結びついた象徴的存在。
6. 讙(かん)
狸のような姿で、光る片目と三本の尾を持つ妖怪。怪異の象徴として古典文献に記され、夜道での遭遇譚が語られる。
7. 猩猩(しょうじょう)
赤毛の猿に似た霊獣で、酒を好むとされる。もともとは吉祥の象徴だが、伝承によっては酔いの精霊として登場することも。
8. 金華猫(きんかびょう)
姿は猫だが、人の心を惑わせる妖怪。民間信仰では、長生きした猫が変化するとされる「妖猫伝説」の一種。
9. 邪魅(じゃみ)
姿は明らかでないが、人心を惑わす魔性の存在。古代中国の異民族信仰や呪術伝承にその痕跡が残る。
10. 鼠姑(そこ)
人の姿に化けた年老いた鼠で、財産や人間関係に災いをもたらすとされる。鼠に関する民間信仰の反映とされる。
11. 青蛙神(せいあしん)
蛙の精霊で、雨乞いや豊穣を司るとされる一方、呪詛に使われることもある二面性を持った存在。
12. 魅(み)
人の心を惑わす悪霊の総称。女性に取り憑くと美貌を利用して男を堕落させると信じられてきた。
13. 鬼市(きし)
夜間に開かれるという霊的な市場。死者の霊や妖怪たちが集まり、物品を取引するという幻想的な伝承がある。
14. 狗頭鰻(くとううなぎ)
巨大なウナギの妖怪で、船を襲うとされる。川や湖に宿る怪異として、水神信仰との関係も指摘される。
15. 野狗子(やくし)
戦場の死体から脳を食べる犬の妖怪。戦死者の無念を象徴する怨霊的存在として語られる。
16. 鬼打牆(きだしょう)
夜道で人の進行方向を遮る目に見えない壁を出現させ、迷わせる妖怪。迷信的な道迷いの原因として知られる。
17. 縊鬼(いき)
自殺者の霊が変じたとされ、人に取り憑き自殺へと誘導する恐ろしい存在。怨念と死の象徴として恐れられた。
18. 瘧鬼(ぎゃくき)
熱病を引き起こすとされる鬼で、病魔の一種。古代中国では瘧(マラリア)と因果関係を持たせる説明として用いられた。
19. 鼠精(そせい)
長寿の鼠が変化して得た霊力を持つ存在で、家に住み着くと富貴をもたらすとされる一方、災いを招くとも言われる。
20. 飛頭蛮(ひとうばん)
夜になると頭部だけが体から離れ、空中を飛び回る妖怪。人の精気を吸うとされ、古代の異民族像と交差する伝承。
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